2010年 08月 26日
HP D2D バックアップシステムと NetVault
HP StorageWorks D2D Backup System
NetVault 8.51
引き金の軽い D2D 2000i
まず、HD の D2D iSCSI モデルは導入の気安さが最大の特徴です。何しろ iSCSI 接続なので、ケーブルの取り回し、取り付け、引き抜きが楽です。iSCSI さえ設定してしまえば、バックアップソフトウェアからはオートローダーとして見えるため、XEN 仮想マシンの Domain-U からも利用できるという優れものです。
物理的に動作するのはハードディスクとファンだけですから、非常に安価です。おそらく故障も少ないでしょう。たとえ故障しても、CPU装置を停止せず、iSCSI サービスから切り離せば簡単に交換できます。気を使う光ケーブルも必要としません。RJ45のモジュラケーブルでつなぐだけです。
たいていのオートローダーでは、3年の運用期間の間に必ず一度は壊れます。これはわたくしの経験上の話です。ロボットのメカ部分、ドライブ、高速でスピンしながら薄ぺらなテープを巻き取るリール。どこが壊れても仕方がないわけですから、かなり高額な保守料金を支払って運用するしかありません。しかも最新のDLTメディアは1万円以上するわけです。運用担当者にとって故障交換はたいてい一日がかりの仕事になります。DLTメディア2ダース分で購入できるD2Dはコストパフォーマンスの高い製品です。
引き金の軽さも魅力の一つです。
操作ひとつで簡単に全てのドライブをフォーマットしたりイジェクトすることが出来ます。テープのヘッド合わせもないわけですから、容易にメディアをスキャンしたり、リストアを開始することが出来ます。あの「ガチャコンガチャガチャ、キューン!」という音も出さずに、アクティブになれば、即効で利用開始できます。
逆に引き金の軽さと、メディア交換が出来ない点がデメリットとなります。メディアは固定ディスクなので「取り出して保管」ができないという点です。引き金ひとつで、簡単に上書きできてしまいます。重要なデータはやはり換装可能なDLTテープなどとの組み合わせが必要となります。金庫にしまったテープをフォーマットするのは不可能なわけですね。
NetVault
Novell OES2 に対応したバックアップソフトとしては一番お勧めします。販売店のノックスさんのページ XEN 上の Domain-U でも Domain-0 でも動作し、確実に OES2 の NSS ボリュームをバックアップ、リストアします。
ただし、Novell Target Server Agent (TSA) に対応しているわけではないため、eDirectory のバックアップは出来ません。NSS のボリュームにあるファイル属性、トラスティなどは保護されます。
その他の大手に買収されたバックアップソフトウェアブランドと違い、専業メーカーである BakBone の製品なので、バックアップ運用というものを良く考えて設計されています。特に旧バージョンや異機種との互換性を不具合も含めて一通り検証しているところが素晴らしいと思います。他の製品では、異なるバージョンのオプション製品との互換性は一切保障しないというメーカーもある中で、この姿勢は見習うべきでしょう。当然、運用中のシステムの中には古いバックアップ用のエージェントもあり、マイグレーションが必要なので、旧バージョンのサポートは重要です。
唯一残念なところは、 GUI 上からNSSボリュームの日本語が文字化けされて表示される部分です。これは、元来が UNIX 系のシステムから育ったソフトウェアなので、努力してもらいたい部分です。しかし、ファイルシステム上の日本語ファイルは正しくバックアップ/リストアできました。 GUI 操作の貧弱性は強く感じます。基本的に永久アーカイブすることがコンセプトであるため、メディアのフォーマットなどは、GUI上で手動で行う必要があります。
その代わり、コマンドラインでの操作が豊富なので、メディアのフォーマットやメディア管理を容易にシェルで実行することが出来ます。
-速度-
今回は、D2D 2000i とXEN Domain-U として仮想化されている OES2 の NSS ボリューム( やはり iSCSI ディスク) で NetVault でバックアップとリストアをテストしてみました。平均 40Mb/sec 程度の速度なので、分速 2~3 Gb/min の速度が出ているようです。これがテスト環境ではなく、実際の運用の現場での速度なので、必要十分と考えています。
-KeyWord-
Novell, OES2, バックアップ, NSS, NetVault, iSCSI, Autoloader, お勧め, 推薦
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