Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する

Zabbix 3アプライアンスで、一般の SNMP デバイスを監視します。

本来は Zabbix Agent を組み込んだホストコンピュータを監視するのが Zabbix の主目的ですが、ネットワークには Linux, Windows ホストの様に、エージェントを組み込めないスイッチやルータ、アプライアンスデバイスなどが多くあります。ここでは古い qnap の NAS を監視し、グラフの描画が行えるまでを説明します。

アプライアンス版の導入はこちらをご参考ください

Zabbix3.2 のソフトウェアアプライアンスUbuntu 版をSUSE 仮想環境で試してみた。

Zabbix Documentation 3.0

2019/7 現在最新版 Zabbix4.2 はこちら

How to setup zabbix4.2 on openSUSE Leap 15.1 セットアップ

Zabbix4.2 snmp監視 デバイスのグラフを表示させるまで

2020/5 最新記事はこちら

zabbix4.2 を zabbix5.0 アップデート openSUSE Leap 15.1



- snmpwalk で返事があるか -

まず、デバイスのSNMPを有効にした後、 snmp パッケージを導入したデバイスから snmpwalk を行います。

# snmpwalk -v version -c commynity_string target_device OID

-v のバージョンは一般的には 2c です。3 もありますが、これは、通信を暗号化するため、実装が面倒くさく、あまり使われていません。
-c はほとんどのデバイスでは Read-only で "public" が使われます。
ターゲットデバイスは IP Address か DNS名です。
OID はちよっと面倒臭いのですが、mib ツリーのどの枝を調べるかの数値です。一番よく使い、覚えやすいのが ".1.3.6.1.2.1.1"なのでこれで調べます。先頭にドットが付くので忘れないように。

sles12:~ # ssh zabbix.intra -l appliance
Zabbix server Appliance (mysql)
Last login: Wed Oct 4 15:57:10 2017 from 192.168.1.35
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appliance@zabbix:~$ snmpwalk -v 2c -c public target-address .1.3.6.1.2.1.1
iso.3.6.1.2.1.1.1.0 = STRING: "Linux TS-110 4.2.0"
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.1 = OID: iso.3.6.1.6.3.11.2.3.1.1
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.2 = OID: iso.3.6.1.6.3.15.2.1.1
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.3 = OID: iso.3.6.1.6.3.10.3.1.1
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.4 = OID: iso.3.6.1.6.3.1
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.5 = OID: iso.3.6.1.2.1.49
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.6 = OID: iso.3.6.1.2.1.4
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.7 = OID: iso.3.6.1.2.1.50
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.2.8 = OID: iso.3.6.1.6.3.16.2.2.1
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.1 = STRING: "The MIB for Message Processing and Dispatching."
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.2 = STRING: "The MIB for Message Processing and Dispatching."
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.3 = STRING: "The SNMP Management Architecture MIB."
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.4 = STRING: "The MIB module for SNMPv2 entities"
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.5 = STRING: "The MIB module for managing TCP implementations"
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.6 = STRING: "The MIB module for managing IP and ICMP implementations"
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.7 = STRING: "The MIB module for managing UDP implementations"
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.3.8 = STRING: "View-based Access Control Model for SNMP."
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.1 = Timeticks: (1035) 0:00:10.35
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.2 = Timeticks: (1035) 0:00:10.35
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.3 = Timeticks: (1035) 0:00:10.35
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.4 = Timeticks: (1041) 0:00:10.41
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.5 = Timeticks: (1041) 0:00:10.41
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.6 = Timeticks: (1041) 0:00:10.41
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.7 = Timeticks: (1041) 0:00:10.41
iso.3.6.1.2.1.1.9.1.4.8 = Timeticks: (1041) 0:00:10.41
appliance@zabbix:~$

この様な感じで OID .1.3.6.1.2.1.1 で値がズラズラ帰ってくれば、SNMPのサービスがターゲットのNAS や Switch などのデバイスで動いている事がわかります。


- 監視ホストの設定 -

qnap NAS は中身が Linux の様なので、SNMP 監視テンプレートは Linux Template がそのまま使えます。まさか、企業では使っていないとは思いますが、NASの中には、低速で使い勝手が滅茶苦茶悪い、二度とお近づきになりたくない悪評の Windows Storage Server が載ってる機種であれば Windows OS 用の SNMP も使えるし、zabbix Agent も組み込めるかも知れません。

Configuration > Hosts より "Create Host" を選んで、監視対象のターゲットを作ります。


Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23134239.jpg



ターゲットの作成画面です。今回のNAS は標準的な SNMP 機能を持っているので ”SNMP Interface” に DNS名か IP アドレスを設定します。

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23140482.jpg
Community String はデフォルト "public" です。違う Community String を使う場合 Configuraion > HOST > "hostname" にある Macros から変更できます。

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_08343992.jpg

Template のリンクを指定します。 "Link new Template" の右にある "Select" ボタンから、一番適合しそうなテンプレートを選び、最後に "Update" ボタンを押します。


Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23144994.jpg

Linked Template は "Select" ボタンより、一番適合してそうなテンプレートを選びます。今回は Linux ベースの qnap NAS なので SNMP OS Linux を選びましたが、 Switch や Router, Wifi スポットの負荷を調べたい場合、"SNMP Generic"”SNMP Interface” などを選ぶ事になりそうです。ちなみに SNMP 関連のテンプレートは一つしか選べません。複数チェックしてしまうと、テンプレートの衝突が起こるので、テンプレートを "Update" した時に怒られます。

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23151081.jpg



Template を適応した直後は、 Applications に幾つか数字が付いています。この時点では Availability の SNMP はグレーアウトしています。定義した Host の "Applications" のリンクを開き


Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23153276.jpg

Applications のチェックを全て入れて、 "Enable" ボタンを押します。ここでは既に SNMP がグリーンに変わっているので、SNMP の監視タスクが動作を始めているのがわかります。

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23161353.jpg

Hosts一覧に戻ると、 NAS の SNMP 監視が有効(緑色)になっているのがわかります。


Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23163222.jpg

でもまだこの時点では Graphs の所にグラフ数が出ていません。ここからグラフが有効になるまで2、30分かかります。

待っているとGraphs(7) が出てきました。初回のデータの収集です。

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23165281.jpg





Monitoring > Graph を選び、ホスト名をドロップダウンして、ネットワーク Interface を選択すると、グラフの描画が始まっています。

グラフの描画が始まります

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23173075.jpg


"Disk Space Usage" にディスクの空き状態を表示するには更に2、30分かかりました。

Zabbix3 でSNMPデバイスを監視する_a0056607_23174964.jpg

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確かに Zabbix は大規模ネットワークの大量の Linux デバイスを監視するのが目的なのですが、一般的な中小ネットワークの、インテリジェントデバイスを管理するにも、割と使いやすいシステムです。トラフィックや、空き容量、無線アクセスポイントの混雑状況といったものが簡単に目視でトレンドが見えるため、「問題の見える化」には非常に手軽なシステムでしょう。本番環境では推奨はされませんが、ソフトウェアアプライアンスであれば、10分もかからず実装でき、無言の機器が、言葉を発するように実際にどれだけ仕事をしているのかが一目でわかるというのはインパクト十分です。

今回は簡単に SNMP インテリジェントデバイスだけをターゲットに、グラフ化しましたが、アラートを通知したり、カスタマイズして本格的に利用するには Zabbix L.L.C. のサポートを受けてトレーニングをうけて利用することをお勧めします。


PR- 最後まで読んでいただきありがとうございます -PR














by islandcenter | 2017-11-03 23:39 | KVM | Comments(0)