SUSE + OES Linux で複数の物理ドライブで一つのボリュームを作る

-Linux のカーネル 2.6 以降 LVM(Logical Volume Manager) などの論理ボリュームマネージャが登場し、複数のデバイスを使ってパーティションを作ったり、パーティションのリサイズなどが自由に行えるようですが、残念ながら、あまり一般的ではありません

-一般的ではない証拠に LVM に関しての非常にわかりやすい説明があまりにも少なすぎるということがあります。また例えあったとしても、私のような Linux 初心者が触れるような簡単なものではありません。どのテキストをどうやって書き換え、どうすればよいか、があるだけで、まず読む前にあきらめてしまう方がほとんどではないでしょうか。多分 Linux を長年やっているヒトでも LVM はきいたことあるけど全然知らないのがほとんどではないでしょうか。

-また、多くのケースでは fstab を書き換え云々しているうちに再起動が必要になり、結局マウントに失敗して起動できなくなるケースも少なくありません。

-まだ、Linux の管理者にとっては、「パーティションは最初に作るモノ」であり、後で自由にサイズを変更したり、ドライブを連結してひとつのパーティションにすることはできないもの、と思ってかかって当然ですね。

-Novell の SUSE Linux をベースにした Open Enterprise Server 2 (OES2) に搭載されている NSS (Novell Storage Service)は EVMS(Enterprise Volume Management System) を使った論理デバイスマネージャを採用しているため、複数の物理(論理)ドライブを連結したボリュームを自由に連結したり、ディスククォータを自由に設定できたり、自動圧縮を行ったり、ユーザごとに「見えない」ディレクトリをつくったりと、

まさにSLES OES2 は「ファイルサーバーとして最適化されたLinux」オペレーティングシステムです。

NSS自体が 1990 年代の後半から開発されたシステムですから、すでに NetWare の管理者にとってはおなじみで当たり前のデバイス管理システムで充分な実績に裏づけられています。おそらく NetWare 5.x 以降を扱ってきたヒトにとってはおなじみの機能でしょう。他のディストリビューションで samba の管理テクニックの分厚い本を読んでいる方には全く同情するしかありません。

-NSSで使われる EVMS って何だ?ってことになるのですが、 EVMS について非常にわかりやすい説明が日本語で行われているサイトがあればぜひ紹介してほしいところです。数年前 OES1 が登場したとき、初めて EVMS について解説してくれたサイトは IBM と Novell にしかありませんでした。

-実際に試してみるのもよいのですが、最低3台以上のディスクを準備しなければならないので結構準備が大変です。ここでは XEN 仮想化された OES2 を例に、二つのディスク(仮想ディスクですが)を連結して、OES で大きなボリュームを作成する手順を説明しましょう。

※注 Novell のドキュメントには NSS は /, /boot と明らかに異なる論理(あるいは物理)ボリュームに作成すべし( Strongly Recommend )とあるので実際にサーバを構築する場合には、SLES10 のインストールしたディスクと異なるディスク(大抵は Raid の論理ディスクでしょう)を NSS として定義しなければならないことになります。

-大型のデータセンターでは Host で raiserFS やext3 を使い、NSSは iSCSI や 別筐体のストレージラックに組み込むことになるでしょう。


-まずは1台目のディスクに SLES10 をインストールして、 OES のアドオンをインストールします。インストールしたら、 iManage から ひとつ目のデータプールとボリュームを作成します。ここでは2Gのドライブに 2G のボリュームが作成されています。

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-2台目の xvdb デバイスに DATA Pool と VOL が作成されています。
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-iManager > Device > Devices を見ると xvdc にドライブがあるので Initialize ボタンを押して初期化します。このドライブは 2G のサイズがあります。

-DATA Pool を Select した状態で Increase Sise ボタンを押すと

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-Initialie された3つめの xvdc ドライブに2Gの空きがあることがわかります。ここに数字、つまりどれだけ Pool を増やしたいかの数字をセットします。ここでは2Gを丸々増設するので2Gに近い数字を入れいていますが。これは、任意でも結構でしよう。

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-この操作により DATA Pool は二つのディスク(今回はイメージですが)4Gバイトに増加したことがわかります。

-次に Volumes メニューを開き、Properties ボタンを押します。Quota が 1.9xG バイトだったところを任意に4G バイト以下の数字をセットします。
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もちろん Allow quota to grow pool size にチェックを入れて、プール全部をボリュームにしてしまってもかまいません。
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-それでは、PCからマウントしたボリュームのプロパティをチェックしてみましょう

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2Gだったボリュームの要領が4Gに増えています。
ちなみに fdisk の p コマンドで見ると NetWare 386 パーティションとして扱われます。


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Open Enterprise Server (OES2) の NSS パーティションは、ブラウザインターフェースにより簡単に構築ができ、 LVM, EVMS の知識がなくても利用ができるファイルシステムです。この流れの中では、サーバーの再起動もなく、また、ユーザがログアウトすることもありません。もし、ホットスワップとオンラインのRAID構成ができるハードウェアであれば、システムを完全に停止することなく作業ができるはずです。

-システムがオンラインのまま自由にネットワークストレージのサイズを変えることができます。

-iSCSI と組み合わせて利用すると、SAN 上に分散した空きストレージをまとめて利用したり、 Move したりが簡単に(私はやったことがないけど)行うこともできます。

他の Linux のファイルシステムにない特徴として

- Disk の Quota
- Data の Compression
- Data の shulleding
- User と Directory への Quota
- [SRWCEFMA] のアクセス制御

といった特徴があります。一度 NSS を使った管理者が転職先で ext3 や NTFSの使いづらさを嘆くことは良く聞くことです。

-キーワード-

NSS, EVMS, LVM, Novell Storage Service, SUSE Linux, SLES10. OES1. OES2.
論理ボリューム、物理ディスク、パーティションの連結、Quota クォータ. Linux Compression データ圧縮、パーティションのサイズ変更

この他の情報はこちらを参考にしてください。
非番のエンジニア
by islandcenter | 2008-08-23 03:25 | OES Linux | Comments(0)