もう10年以上 XEN ハイパーバイザーと付き合ってきて、つくづく思うのは「あぁ、もうx86_64 のXENは終わったなぁ」ということです。別にLinux + x86_64 なら KVM でもいいんじゃん。

今でも考えられるケースで XEN を使うとしたら、

- XEN の Domain_U のカーネルを弄ってまで、他のハイパーバイザーに移行させたくない(これ結構大きい)
- BSD 系 Linux や Soralis と言った、非 Linux カーネルの UNIX OSをハイパーバイザーやゲストOSでも使っている(トモダチになりたくないな)
- ハードウェアに仮想化支援機能(VT機能) がない機器とか i386 ベースのx86ハードウェアでも仮想環境を使いたい(エラク古いPCだ)
- Intel x86 系の CPUを使っていない(PPCやIA64)とか (見たことないけど、もっとトモダチにもなりたくないな) )

こういった「今更な理由」がない限り Linux に限れば XEN による準仮想化を積極的に選ぶ理由がなくなってしまったのです。

まぁ、もともと10数年前に XEN 3.0 の登場とともに Intel=VT や AMD-V などの仮想化支援機能がハードウェアに実装されたと同時に XEN に「完全仮想化」というキラーな機能がついて、火が付いたと云えます。

と同時にこれらのVT機能の強化が続く中、普及と共にライバルの完全仮想化、64ビット版のみの KVM ハイパーバイザーが台頭してきたわけです。何しろ完全仮想化は QEMU にオーバーヘッドを渡すわけで、同じ QEMU を使う KVM ハイパーバイザーとの共通化が進んでいるわけですね。

ただし KVM ハイパーバイザーは当時としては主流だった VT 機能非搭載のPCサーバーや XEN を積極的に導入してきた非Linux 系の ISP やBSD系 Unix が主流の iDC の積極的な導入がなく、実績も少なかったので、まだまだ「開発中」といったイメージしかありませんでした。また、ハードウェアも仮想化を強く意識しないデュアルコアやクアッドコアがせいぜいでした。

しかし、VT機能というハードウェアの援護を受けて、KVM は一挙に広まっていった、という感じがあります。実際、XENで完全仮想化された Domain_U であれば、ほとんど仮想イメージを変更しないで KVM へ移植できてしまいます。何しろハイパーバイザーの補助をする QEMU という共通基盤があるため、XEN の完全仮想化はほとんど KVM との共通ワードとなっているわけですね。だから、 Linux On Linux の仮想化でも Full Virtual には、特に目立った機能の低下、スループットの低下はあまり感じなくなってきました。さらにはオクタコアやヘキサゴンコアなんていうハードウェアが、松竹梅の「竹程度」のサーバーに実装されると、ボトルネックはディスクI/O程度の問題になります。

SUSE 11.x の時代は XEN の全盛時代だったのですが、 SUSE では SLES12 以降、Libvirt の共通化により、オペレータは、自分が操作するハイパーバイザーが XEN なのか KVM なのか、強く意識しなくなりました。この原因は OpenStack の影響もあるでしょう。 SUSE は openstack に重点が移っているし、親会社の Microfocus も HPE のソフトウェア部門の買収に伴い、益々マルチベンダークラウドに力が入っていきそうです。

顧客も専用のハイパーバイザーと管理ツールによるベンダーロックインは避けたいところ。オンプレミスなクラウドと、iDC のプライバートクラウドと、AWS のようなパブリッククラウドとの間にあるマイグレーションを試みたい所です。まぁ日本のIT業界ではベンダーロックインというよりSI屋にロックインされているのですけどね。
SLES の仮想化コマンド自体も Libvirt の共用化によって、virsh コマンドにオプションの違いはあるにせよ、ほとんど xm, xl コマンドと同じ操作ができるようになってしまいました。こうなると、自分の操作するハイパーバイザーが XEN なのか KVM なのか、ほとんどオペレーターは意識する必要がなくなってしまいます。こうなると Citrix や VMware 専門のエンジニアのある種の閉鎖性が邪魔になってしまいそうです。

また openstack による統合管理を考えると、事業者におけるハイパーバイザーの一本化というのは避けて通れない(のかな)という事もあり、Linux + x86_64 主体のデータセンターでのハイパーバイザー運用は XEN ではなく KVM の一本化に進んでいくことになりそうです。

伝統的に XEN on BSD Unix などを使っていた iSP や iDC 事業者はさておき、数年後の新興サービスベンダーの若い技術者にとっては「XEN?何それ」化しそうな気がします。

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こうなると "XENserver" を名乗る CItrix の戦略はどうなるのよ、という疑問がふつふつとわいてきます。世の中、完全仮想化に向いている中、Linux や BSD 系の「サーバー」OSを XEN ハイパーバイザーで管理する、という商品イメージはだんだんとネガティブに見えてきます。いまや XEN というブランドが、重しとして Citrix に乗りかかっているのですね。「あぁ Citrix, 昔 XEN でブイブイ言っていたベンダーね」と「聞いたことあるよ」という日がいつか来るでしょう。いや、その頃はもうXEN app というプロプラエタリなアプリケーションの仮想化ベンダーとして特化する中,早まって XENsource を買収したCitrix も XEN というブランド名を捨ててしまうのかも知れません。

もともと、Windows NTx 系のオペレーティングシステムをマルチユーザ化した Windows Remote Desktop も Cytrix が開発に関わった機能であり、Metaframe や XEN App といった、Citrix 得意のシンクライアント機能に特化した企業として存続していくのだろうけれど、サーバー集約化を目指す Xenserver といった製品の他社ベンダーや openstack や docker との差別化できない機能は、よほどのことがない限り、「世界のクラウドの Citrix 」化することはなさそうです。











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by islandcenter | 2017-08-08 15:19 | プライベートクラウド | Trackback | Comments(0)