2013年 10月 15日
体で覚える Openstack: SUSE CLOUD2
https://www.suse.com/products/suse-cloud/
この製品(商品)は OpenStack をベースとしたプライベートクラウド構築ツールです。いわば、オープンソースである OpenStack の商用版ということになるわけです。
この製品が画期的なのは、「商用版」である、という点でしょう。日本のマーケットでは「値段のないOSS」はSI事業者からは「売りにくい」ものです。ある意味、サポートを「ベンダー丸投げ」できる「商用版」は貴重なのです。
OSSは興味があるが、中々手が出ない、サポートもないものは「製品」とは言えない、という顧客にとっても「商用サポートがある」プライベートクラウド構築ツールが出たという点で非常に面白い製品です。
プライベートネットワークでIaaSを簡単に実現するには eucalyptus や Cloudstack といった、OSSを使うわけですが、自社でカスタマイズできる技術と要員がいる ISP や大手企業、組織は別としても、必要なリソースを必要な期間、安全にオンプレミスで利用したいというニーズは中堅の組織でも必要なことです。しかし管理者に大変な負担がかかります。
これらのクラウド管理ツールに関しては注目されていても実際に解説された書籍もすくなく、あっても「概念」を説明した10ページ目で投げ出したくなります。実際に手を付けるためにはOSSという「大海」に身を投げる覚悟が必要なわけですね。
何しろ、未だ開発途上のもので、海のものとも山のものとも評価できないため、ここは体で知るしか方法はありません。
これまでの Novell のクラウドプロダクトと言えば Platespin が有名だったわけですが、プロプラエタリであること、V2P,P2Pに優れた実績があることなど、BCP対策として優れた点があったのですが、本格的にプライベート/パブリックの両面で IaaS を実現するにはちょっと高価だったし、Windows 2003 ベースで古さは否めないのかなという気がしました。いつかは OpenStack 系に移行し、プライベートクラウドの中での IaaS プラットフォームになるだろうとは自然な流れだと思います。
それだけに世の中が大騒ぎするほど「クラウドプラットフォーム」はまだ未成熟なものなのです。
ということで、まず手を動かし「体を使って」 SUSE CLOUD からクラウド管理ツールを理解してみようという試みです。
- SUSE CLOUD2 のダウンロード-
SUSE CLOUD2 は簡単な登録手続き(無料)で評価版をダウンロードできます。 Attachmate/Novell/SUSE のアカウントがなければ作成します。
http://download.novell.com/Download
ドロップダウンリストに SUSE Cloud のリストが出るので Search してください。全部でCD3枚分の ISO が取得できます。約1.1Gほどです。
はじめて Novell/SUSE 製品の評価版をダウンロードする場合はこの記事を参考にしてください。
SUSE Linux アカウントの取得から評価版のダウンロードまで
http://islandcnt.exblog.jp/18454910/
マニュアルはこちら
https://www.suse.com/documentation/suse_cloud20/
まずは Deployment マニュアルから読み進めていくことです。
-インストールとコンポーネント-
OpenStack についても eucalyptus も、解説書の最初のページで「コンポーネント」の説明があるのですが、既にこの時点でチンプンカンプンとなって挫折してしまうヒトが多いでしょう。私もそうです。
コンポーネントが「ハードウェア」なのかソフトウェアなのかがまずわからず、じゃぁどれほどのハードウェアを要求し、実装しなければならないのかの「開始時点」で躓いてしまうわけです。
まず、手を動かして体で覚えようということで、いきなり SLES11 の仮想環境にインストールです。
インストールは YaST > Add-on Product からインストールを行います。ここではダウンロードしたISOイメージファイルを指定しました。

イメージレポジトリが追加されると YaST の SoftWare Management メニューに SUSE CLOUD のコンポーネンツが Pattern に現れます。

ここで何をインストールすればよいのか、ということで Deployment マニュアルに戻って勉強してみましょう。マニュアル丸写しでは理解できないので、「手を動かし」「体を使って」手抜きの簡単なイメージ図を描いてみました。

- Admin 管理ノード
これはクラウド全体のコンポーネントを管理するツールです。SUSE CLOUD では YaST の中に Crowbar

と呼ばれるツールとして定義されています。クラウド内部で最低1台は必要となります。
コンポーネントを管理し起動するための DNS/DHCP/PXEや TFTP などで構成されます。
またサブスクリプションを管理し、仮想インスタンスのレポジトリの管理も行います。
- Control 制御ノード
このコンポーネントはクラウドの利用者(ユーザ、IaaSの利用者、管理者)が IaaS のサービスを作成し、管理するためのインターフェース、DashBorad が中心にあります。利用者はここから IaaS サービスを操作することになります。
PostregSQL でさまざまな仮想インスタンスを管理し、インスタンス管理者の認証管理からストレージの管理まで全てこなす(おそらく)一番重要なコンポーネントです。もし、このコンポーネントを移動するような場合は、仮想インスタンス全てリブートした方がいいよ、とマニュアルにはありました。
おそらく一番手こずりそうなコンポーネントと予測できます。
- Compute ノード
これは、実際に仮想インスタンスが動作するハードウェアで、SUSE CLOUD では XEN/KVM をインストールすることになります。 たっぷりのメモリとCPU、ストレージ容量を必要とします。OpenStack Compute は、このハイパーバイザーを操作して、直接 IaaS サービスの管理を行うということです。1台の Compute ノードで使えるハイパーバイザーは一種類だけです。当たり前ですが XEN と KVM は同じハードウェアで共用できないということですね。
- Storage ノード
これは、まだ意味が良くわかっていないのですが、基本的には SUSE(SLES)上で管理されるディスク領域ということになります。OpenStack Swift と呼ばれるディスクプールはオプションでかまわないようです。
-登録-
インストールの途中で登録画面が出ますが Configure Laterを選びます。

ある程度、 SUSE CLOUD を理解し、「商用版を買う価値あり」と判断できれば、この画面から、実際に SUSE より購入したアクティベーションキーを登録して、リポジトリを更新します。
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用語(コンポーネント名)を一つ一つ理解した上で実際に着手するのが、王道なのでしょう。しかし、マニュアルを暗記しても、必要なスケーラビリティやリソースが Openstack などのクラウド関連のマニュアルや解説本を読んでもチンプンカンプンです。
ということで「体で覚える Openstack」 ということで SUSE CLOUD2 を取り上げてみました。
既に「諦めモード」でこの続きがあるかどうか.... あまり期待しないで長い目で見てください。
islandcenter.jp