2014年 09月 07日
Windows 2003,それでも物理サーバーに移行しますか - 仮想化のススメ
もう、Windows 2003 が売れた時代と言えば 2004 年から 2008 年にかけて、新しい方でももう5年程度使っているのではないでしょうか。そろそろ仮想化システムが本番化し始めた頃です。
Windows 2012 R2 であれば、サポートライフサイクルは 2023/1 までです。。そうなれば、9年近くシステム運用が可能になります。Windows 2008 なら2020/7 まで。この3年の延長期間は価値があります。
にも関わらず、物理->物理のマイグレーションは、物理的な機械故障、機器のサポート、保守部品の保持期間を考えると賞味期限に全く意味がありません。
という事で、Windows サーバーのリプレースを考えるのであれば、Windows 2012 R2 を仮想化システムとして移行してしまえばいいのです。少なくともこれから9年間は、サポート切れの心配をせず、運用できます。
機器が古くなっても、仮想イメージを新しい革袋に詰め替えるだけなので、わずか数十分の移行期間で移行ができるのです。
この期に及んで
「 Windows 2012 のインターフェースは Windows 8 と同じで使いづらいので Windows 2008 をお勧めします」
と言って「物理 -> 物理」の V2V 移行を提案してくるSIベンダーは、信じられないほど頭の構造が古い。大体、サーバーのUIがエンドユーザの生産性に関係あるわけがないのです。あるいは、 Windows 2008 のサポート切れの際に、
「4、5年後、もう一度マイグレーションで金が取れる」
という、計算が働いているのかもしれません。また、「仮想化」について全く自信がない不勉強なSI事業者でしょう。
アプリケーションの互換性の問題を意識される方もいらっしゃるでしょう。しかし Windows 2003 -> Windows 2008 へと移行するのと Windows 2012 に移行するのでは、互換性検証にかかる手間は大して変わらないはずです。要はミドルウェアが対応しているかどうかの違いです。
「2008 では動くけど 2012 では検証していない」というSIベンダーは、この4年間どういう努力を行ってきたのでしょう。
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今は、ハードウェアを抽象化する動きが活発です。「仮想マシンだと、ディスクIOが遅い」と言って V2P の提案を否定する SI 事業者は IP-SAN という技術を知らないのでしょうか。iSCSI などの IP-SAN であれば、システムドライブも、ストレージも抽象化して、異なるポリシーで資産管理ができます。ストレージの容量が足りなくなったり、故障が増えれば、ストレージだけ買い替えてデータ移行してしまえばいい。何もハードウェアをそっくり入れ替える必要はありません。
それは勿論、何テラバイトもあるデータベースシステムであれば、物理物理の V2V 移行も意味があるのですが、所詮 WIndows 2003 時代に購入して構築したシステムであれば、ストレージの容量など、大体見積もれる筈。何テラバイトという容量は必要ないシステムがほとんどなのです。
「Raid5にホットスタンバイ付けて4Gメモリを2枚」
って何百Gバイトのディスクとメモリがそのシステムに必要なのでしょうか。多くの Windows サーバー用ソフトウェアの推奨メモリは4Gbです。完全にオーバースペックなのです。SIベンダーにとっては、1台の高性能なシステムを売るより、何台もの低価格、低スペックのPCサーバーを販売した方が、売上も上がるし保守費用も取ることができるのです。なぜこんな中途半端なスペックを顧客に推奨するのでしょう。こんなハードウェアを2~3台提案するくらいなら、5割増しのスペックで仮想化システムが構築できます。勿論顧客の負担も半分程度まで下がるでしょう
実際、2CPU16スレッド64Gbメモリ1Tバイトの1Uのサーバーハードウェアに SUSE Linux Enterprise Server (SLES11) を導入して、5台の WIndows8, 1台の Windows 2012, 2台の SUSE Linux を動作させてもまだまだ余裕という、事例を今年実施しました。
既にここでは25台の Windows7 が仮想デスクトップとして1Uマウントのサーバーで動作しています。実際の使い勝手は、クライアントWindows7 より、サーバーとの遅延がないため、「異常に早い」と好評だそうです。
これだけの設備を動かすにもUPSは1台だけ、ハードウェアの故障管理、バックアップのターゲットも2台だけなのです。スペースもわずか2Uです。
結局、「見る目がなかった」と気が付くのはユーザ企業なのですが、それだけユーザ企業の「目が肥えていない」事が原因なのです。
今まで動作していて不満がなかった Windows 2003 システムに対して、オーバースペックなテラバイト級のハードディスクと16Gというケチなメモリの使い方をしても、それほど業務には
「速くなった、良くなった」
という実感のあるシステムになりようがありません。MMインターフェースを使わない、メールのウィルススキャンや、アンチウィルス配信だとか、アクセスポリシー管理のサーバーソフトウェア、プリントサーバーなら、4G バイトのメモリと80Gb程度のディスクと2CPU(スレッド)で満足できたシステムなら、そのスケールで十分なのです。
これらの低スペックのサーバー一つ一つにKVMスイッチを繋ぎ、HUBを接続し、UPSを繋いでラックの裏でスパゲッティを料理する手間を考えると圧倒的に仮想化システムの方が楽に構築できるのです。
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ということで、 Windows 2003 サーバーのサポート切れ問題は、システム全体をプライベートクラウド化するための良いチャンスなのです。
-Keyword-
SUSE SLES Linux 仮想化 Windows 2003 マイグレーシ サポート切れ
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