2014年 11月 04日
クラウドサービスは情報共有には本当に便利なのか?
相手の事を考えてみましょう。
私が Evernote のある文書を、誰か他者のユーザと共有できる、と触れ込んでも、その方は使ってくれるでしょうか。
まずは、相手が共有を受け入れてくれるかどうか。
次に、こちらがアップデートした情報を読んでくれるかどうか。
そして共有したい情報を気軽にアップデートしてくれるかどうか。
これらを考えると社外のユーザとの情報共有というのは非常に「難しい」と言えます。
単にセキュリティ上の問題だけではありません。あるいは情報漏えいに繋がるのではないか、という問題でもありません。
相手の文化の問題です。
相手の文化に自分のやり方を押し付ける。
これは中々できるものではありません。
ちなみに、私は Microsoft Office を使いません。Libre Office を愛用しています。とは言え、せいぜい見積書を作るとか簡単なレイアウトを使った文書を作るだけです。大抵、問題なく相手は開けます。そんな私の元に、あの悪名高い "Excel 方眼紙" のフォームが送られました。Libre Calc で読めるし変更もできるのですが、返送したら、見事に文字化けしたそうです。
たったそれだけの事で何万円もする Microsoft Office を必要だと思いません。これも仕事のやり方の押し付けです。
私も経験があるのですが、gmail のアカウントを作ったので、そのアカウントから、システムベンダーに問い合わせる様に、というルールを押し付けられた事があります。しかもセキュリティ上「メールは POP してはならん」ということです。全てウェブ上で作業を済ませろというルールです。
先方はそのルールで長年お仕事をしてこられたので、受け入れやすく、こちらにも押し付けることができます。またそのルールには長けています。
私は既に gmail のアカウントを持っていて、様々な Google のサービスを利用しています。そのアカウントを捨てて、別な gmail のアカウントを使う事を強制するわけですね。そのアカウントでログインしている限り、Google カレンダーにもアクセスできない。しかもパスワードは複雑で、共有する以上、パスワードの変更はできない。
しかし、こちらは長年POPメールを使っていて、メールのバックアップも取る習慣がある訳です。
当然その運用ルールには慣れる事ができませんでした。先方としては「便利だから」という理由なのですが、それは便利の押し付けに過ぎません。こちらでは便利なものでも相手には非常に不自由で不愉快なこともあるわけです。
これはグループウェアを使う時、最大の問題となる点です。
特にスケジュール管理は、手帳でやる人、スマートデバイスを使う人、それぞれやり方が違うところに、無理やりグループウェアを導入しても、手持ちの手帳に転記するわけにもいかないし、使っているスマートデバイスが対応していなければ、結局誰も使わなくなります。
Yahoo のカレンダーを使っている人が、先方との打ち合わせや、資料を Yahoo のカレンダーにアップしても、誰も使わないでしょう。その本人にとって便利なことでも、相手には単に迷惑になるだけなのですね。
この様なお付き合いが爆発的に増えると、朝のチェック項目が爆発的に増えてしまいます。
取引上、弱者は、相手のルールに従わざるを得ません。それだけ時間もコストもかかるということを元請は考慮しません。
という事で、連絡や資料の共有などは、徹底的にレガシーな方法、電話か電子メールで済ませます。