NetWare 3x をリプレース、甦らせる方法

意外な事に、未だに NetWare 3.x をご利用の環境があります。

90年代に工場や研究施設を新設した時に、計測機器や制御機器を DOS 接続するために構築された環境です。多くの場合、「装置一式」の固定資産として資産計上されている事。また、経営上、「装置一式」をリプレースする資金がない事、あるいは、「装置一式」自体をリプレースする必要が全くないケースなどです。

また、90年代から2000年にかけて導入した現状の製造関連装置(ハードウェア)が、専用のI/Fカードでなければ動かない、とか、装置そのものをアップデートする必要すらない、という場合もあります。こう言ったシステムは DOS/Windows2000/WindowsXP などで使い続けられています。

現実に、まれにキオスク端末であるとか、何等かの表示板に Windows の「ブルースクリーン」があった、というSNSの報告であるとかタレこみなどを見つける事があります。

街角エラー画面コレクション @nifty

これらのシステムは別にネットワークに接続しているわけでもないですし、そもそも「機器一式」を更新する必要すらないシステムなのです。そもそも、例えばニュース速報をテキストで流すだけの装置にしても、装置そのものは省電力化、効率化、高信頼性化されていても、システムそのものは別に更新する必要がなければ、そのまま使い続けられるでしょう。わざわざ作り替える必要もありません。

また、20年も30年も「新製品」を開発する必要がない製造業もあります。この様な現場では、既存の装置を使って製造し、品質をチェックします。

従って、ITビジネスを行う側からすると「レガシーは捨てて新しいシステムにしろ」と喧伝されるわけですが、運用する側からするならば、

「壊れて修理ができなくなるまで徹底的に使い倒せ」

という、ごく自然な考え方で運用されています。何しろ、経理上コンクリートの建屋の固定資産は30年です。その中にある装置自体も30年年のレベルで運用を想定しているお客様は沢山いるのです。

システム屋としては心配でもありますが、そういう考え方もあって当たり前だろうなとも思います。それでもPCサーバーを核としたこれらのシステムは、やはり経年劣化や、保守部品の不足などで「立ち上がらなくなったら怖いな」という事になります。修理部品がないわけですね。

という事で、意外な事なのですが、NetWare 3.x が以外な所で利用されているケースが2015年現在でもまだごく普通にあります。

- Windows がネットワークにつながらない -

こうしたシステムで、DOS + NetWare で運用していたシステムはほとんどのケースでは Windows XP でも繋がるため、問題なく利用できていました。しかし、 DOS + NetWare はプロトコルは IPX です。 Windows XP では標準で IPX が利用できたのですが、Windows 7 以降 IPX は実装されなくなりました。そこで、今まで運用してきた生産管理システムであるとか、品質管理システムだとか、キオスク端末などに、Windows(7/8) をつなげると

「あれれ!」

という事になります。

DOS の時代は最大メモリが 640Kb という壁があったため、IP を実装してアプリケーションを動かすことは非常に困難でした。動いても実用的ではありません。 i80386 の時代になってやっとメモリ空間を有効に利用できるようになりましたが、まだ主力が i80286 の時代だったので、共通の環境でファイル共有するという事自体困難だったのです。

NetWare 3.x の少ないメモリで動作する IPX と言うプロトコルはそんな時代背景の中で非常に貴重でした。

また、Windows NT サーバーがまだ不安定だった時代の事ですから、安定している NetWare 3.x を Windows 2000/XP などで IPX接続で、継続して使い続けるケースは、ごく自然な事でした。

- IPX を継続して使いたい -

と言う事で、「NetWare + IPX をまだ使いたい」というニーズを満たす方法と、最新の Windows 7/8 間でファイルをやり取りするには、今、提案できる事は NetWare 6.5 を仮想環境で動かす事です。

なぜ仮想環境が必要かと言うと、既に NetWare 6.5 の開発、サポートは終了しており、ハードウェアベンダーの互換性リストからも消え去ってしまったという理由です。

そこで、現在利用可能な最新のハードウェアでは NetWare が動作する可能性が少なく、SUSE Linux が公式にサポートされている Dell や HP と言った外資系ベンダーのハードウェアを選択します。外資系ベンダーでは、 RedHat, SUSE のみならず Unbuntu から CentOS まで検証しているケースがほとんどです。 国産ベンダーでは SUSE Linux は「マイナー」と判断されているのか、まず、世界第二位のシェアがある SUSE の商用版をサポートせず、Windows サーバー以外では精々 RedHat 程度しか検証はしていません。

従って、ハードウェア互換性リストにリストされているハイパーバイザー上で、NetWare を動かす事が一番確実な方法となります。Novell と SUSE はかつて同じ企業だった時代があり、現在も同じ資本グループで協業体制があります。そこで、SUSE Linux 上では NetWare は XEN 仮想環境でも KVM 仮想環境でも最新のハードウェアで動作させる事ができます。SUSE Linux には標準で NetWare 5.6 のテンプレートが含まれているため、SUSE ハイパーバイザーでは簡単、確実に NetWare 6.5を動作させることができます。
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ただし、NetWare 6.5 と IPX は既に販売、サポート共に、Novell Inc. およびノベル株式会社でも終了している事はリスクとして十分認識しておくべきです。

※ できれば OES2 NetWare 6.5 番ではなく Linux 版をお勧めしたいのですが、次の点で問題があります。

- バインダリエミュレーションがない
- IPX がサポートされていない

また本筋とは離れていますが
- NWFS(従来の NetWare のファイルシステム)がない。

という点が制限となります。そこで Linux 版は IPX, バインダリ接続は出来ません。

Novell Client for Windows (XPまで) では プロトコル IPX を優先する事ができます。
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また Novell Client for Windows(XP) が使える環境であれば、バインダリ接続もできるため、バインダリ接続した場合、自動的に SYS:Mail に接続ユーザの mail ディレクトリが作成されるため、ここにログインスクリプトを記述することができます。
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バインダリエミュレーション

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プロトコル IPX


- Windows7/8 から NetWare 6.5 へのip/ipx接続 -


Novell Client 2 (Vista/7/8/10) をインストールした Windows PC より、 NetWare 6.5 サーバーに接続することができます。

これは、NetWare 5.x/6.x が ipx/ip デュアルスタックゲートウェイとなるため、古い DOS+IPX マシンでも、最新の Windows 7/8 でも全く問題なく利用できる、という事です。
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日本の大手SIベンダーでは「既にサポートされていないソフトウェアはリスクが多すぎてサポートしない」のが原則です。そこで、現調して、新しい Windows サーバーと、最新のソフトウェア、一桁違う莫大なソフトウェア開発費を見積もってくるでしょう。そういう「大人の事情」がある訳です。

一般的な事務系、情報系システムと異なり、組み込み系、制御系にはそうした特殊な事情を理解している開発会社さんも居らっしゃる一方、制御系システムを一般的な情報系システムと同じレベルで考えている業者さんも居らっしゃるという事です。

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https://islandcnt.exblog.jp/239279772/


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Windows 7 Windows 8 NetWare に繋がらない。IPX バインダリ接続 PC9801 サーバー NetWare IP
by islandcenter | 2015-06-25 11:26 | Native Netware | Comments(0)