Windows XP から Windows7 への移行はまずまず好評だったと思う。何しろXPから比べれば、というタラレバ論理では、「充分に早い」から、エンドユーザも歓迎したようだ。もっともログインしてから、実際に「落ち着く」までの時間は大して変わらなかったので、「早くなった」というのはユーザさんにとっては感覚的なものに過ぎないのだけれど、XP 時代のボロイPCを捨てて Windows7 へ移行したことは歓迎されたと思う。
アプリケーション、それもファットアプリケーションではなく Web アプリケーションですね。つまり 「IE の xx バージョンじゃないと動かない」という問題。よく聞くのが「縦罫線がずれる」というヤツです。IE 以外のブラウザでは正常に見えても、印刷すると、縦罫線が化けたり、ずれたりするンだそうですね。プログラマじゃないからよくわからないけど。極端なハナシ、「罫線の角を丸めてくれ」という「え”」というウソのような要求があったりするそうです。
おいマジかよ。
そういう文化なので、「EXCEL方眼紙」などという珍妙なテクニックがまがり通る日本の特殊社会なのですね。そういう特殊な日本語のドキュメント文化を丸々否定したくはないのですが、否定しない事には、いつまでも「IE xx じゃないと」というシステムしかできない。止めない事にはイノベーションが生まれないしITのコストは高止まりのままなのです。
まぁ、縦罫線をうまく利用して、見事なPDFの帳票を作っている国税庁の確定申告のサイトはよくできている。何しろ Windows だろうか Mac だろうが Linux だろうが Adobe Reader さえあれば、ウィザード形式で見事なPDFの申告書を作ってくれるンだけど、一般のサラリーマンエンジニアは、確定申告なんて無縁だから、あのすごさはわからないだろうなぁ。
-シンクライアント-
実際、私の顧客ではVDIを大規模に導入しようというお客様がいます。というかもう既に一部に導入されて、利用されているのですが、とっても便利で、エンドユーザさんからは好評らしい。そこで、もっと拡大して利用しようという事を企画しています。シンクライアントであれば、サーバーコストはかかるが、極端な話、ライセンスコストだけで、Windows が使えます。物理的なデスクトップは何でもいい。USB 起動の Linux でも Mac でも、最近はやりのスティックタイプの1万5千円のPCでもシンクライアントとして利用できる。
Android のタブレット、PCでも、HDMMI があれば、21インチの大画面で利用できる。シンクライアントに特殊な端末は必要ない。極端な話、倉庫にあるハードディスクが壊れた古い XP 端末でもUSBメモリ起動で openSUSE だとか Ubuntu のようなLinux リモートデスクトップがつかえれば十分なのですね。
となると、エンタープライズ分野での Windows10 への移行は、実台数ベースで企業に導入されることは期待できない。私だって、古いPCを20台をリプレースするくらいなら、VDIの仮想クライアントを20台並べた方が楽だと思う。シンクライアント本体は別に何でもいい。1万5千円のスティックPCでも、タブレットでも、古いPCを Linux 起動できればいい。ただし、大型ディスプレーと、キーボード、マウスは用意したほうがいい。最新のタブレットでなければ、有線タイプがお勧めだ。こうなると、クライアント「PC」は別にPCでなくてもいいし、ライセンス料の安い Home Edition(無印 Windows) であっても、リモートデスクトップが使えれば十分なのです。
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Windows7 から Windows10 への移行は様々な問題があるでしょう。IE から Edge への移行。それはそのまんま、ウェブアプリケーションの改修なのです。ですが、これは IE 依存から Web 標準の回帰にもなるわけです。Edhe のみならず、Chrome,Firefox, あるいは Macintosh の Safari での標準化。決してデメリットではない。縦罫線の排除は、開発部門と、運用部門との闘いになるだろう。
しかし、文書の中身が正確であれば、縦罫線なんてどうでもいい話であるし、それがグローバルスタンダードなら、縦罫線は排除すべき問題かもしれない。その発想がない限り、東京オリンピックまで Windows7 がニッポンの標準スタンダードとなり続けるでしょう。いまだに、Windows XP は主力ではなくてもオフラインで使われ続けているし、Windows 7 もそういう道をたどるのかな。