ご存じの通り Evernote の無料版が、アップロード制限だけではなくデバイス数にも制限がかかりました。本来、"Ever" で使えるビジネスモデルとして、長く使えるようビジネスモデルを考えた結果が Evernote の特徴ででしたが、複数のデバイスで無料だったサービスが Ever とは言えなくなってしまいました。もうすでに "Evernoteの乗り換え先はどこか"なんて記事がでているくらいだから、Evernote 脱退組が大量に出てくるでしょうね。 クラウドのフリーミアムモデルの後退です。Evernote ユーザは牧草地帯、クラウドノートの草刈り場となるのでしょうか。 - フリーミアムのコントロール - クリス・アンダーソンの著書「フリー」では、10%のプレミアムユーザがフリーミアムの理想である、と”フリー”の中で書いています。Evernote のビジネスモデルでは、予想されたプレミアムユーザよりフリーユーザである分母が多すぎた、という事になります。無料のベーシック版が2台までというのはすごく微妙でポイントを付いた数字ですね。分母を減らしてでも運用コストを下げるか、プレミアム(プライム)ユーザから費用をとれるかのツボを押さえた制限です。 また、Evernote はプレミアムユーザであれば、転送容量、利用容量無制限だったのですが、このポリシーも数か月前に撤廃されて、プレミアムユーザであっても10Gの容量制限がかかっています。何しろプレミアムユーザならアップロードは無制限、無料ユーザはアップロード制限があっても、ダウンロードは自由だった訳ですね。 「本来の使い方から逸脱した利用」があったらしく、おそらく、一部のプレミアムユーザが「割れ物」のアップロードと共有に使っていたのでしょう。確かにそういう使い方もあるなと想像できます。 Evernote のアカウント先に送られてくるメールにも Evernote 自身が、プレミアムサービスをどう増やせばいいか迷走している様子がよく窺えました。 -ビジネス向けのフリークラウドサービスの限界- よく Line なんかでグループチャットが便利といわれますが、メンバーの中に一人でもガラケーを使っている人がいると使えないと云われます。 と、おんなじで Evernote の一つの機能として、グループによるデータ共有があり、Evernote としてはこの機能を一つのメダマとして、アピールしたいようなのですが、メンバーの中に一人でも 「Evernote なんて知らんぞな、もし」のような人がいれば使えないのですね。 組織と組織外、個人との情報共有というのは非常に難しいものなのです。 一度、gmail の共有アカウントを作って、そこで共同作業をやって欲しいと、強制してきた業者がいましたが、非常に困惑しました。 google のアカウントにログインしてしまえば、ブラウザの情報は個人的なものでも、すべて「共有」されてしまうのです。個人的なものならまだしも、他の業務で使っている情報まで「共有」されてしまえば、これは立派な情報漏えいになってしまうわけですね。 結局フリーの滅多に使わないようなブラウザにパスワードを記憶させましたが、他の事業者、他人、他の組織のユーザにフリーであっても、便利だから、という理由でクラウドサービスを使うように強制させる事は難しいのです。 特に、IT部門が関わらないこうしたフリーのクラウドサービスは、情報共有に対する制御が利きません。 私も「個人的に」使っている Evernote の「情報共有機能」がどのようなものなのかが把握できない以上、Evernote を使っている外部のユーザさんと情報共有するための目的には絶対に使わないでしょう。そういった理由もあり、管理ができるという理由で、意味もない常駐人月時間単価監禁仕事という形態を日本の顧客やIT業界やSI業界はヨロコブわけです。なぜ、日本でこうしたオープンな業務形態を実現できないか、というのは、コラボレーションツールのマネジメントの欠如がプロジェクトの中で”ない”からなのでしょう。 Evernote にはいくつかのサクセスストーリーがありますが、それはあくまでもプレミアムユーザを対象とした、「組織丸ごと」のサクセスストーリーであり、個人ユーザのサクセスストーリーではありません。しっかりしたコラボレーションツールのマネジメントの中で行われるから、サクセスストーリーが出来上がるわけです。 - フリーミアムはパーソナルで - もちろん Evernote のポリシー変更はワールドワイドのものであろうから、日本だけ特殊なわけではありません。このストーリーにオチを付けるなら、フリーミアムがプレミアム化するには、安心して利用できるしっかりした「管理できる」サクセスストーリーが必要だという事です。管理できないフリーサービスは、あくまでも個人利用からプレミアム化し、グループワークに使うのであれば、何等かのルール、あるいはプレミアム化できる付加価値として、強力な管理機能が必要なのです。 例えば、従業員が業務で使っていたフリーミアムアプリケーションに保存されたデータは退職したときにどう管理されるのでしょう。組織外と共有していたデータは、そのメンバーがライバルのプロジェクトに引き抜かれたらどうなるのでしょう。 もちろんフリーミアムのプレミアムサービスを組織として経費化できる仕組みがなければ、他の組織と、境界を超えたコラボレーションが行える訳ないのですね。フリープレミアムサービスの経費化、これは個人の出費なのか、組織の出費なのか、外部の業者に利用を強制すべきなのか、その境界が曖昧である以上、フリーミアムが、公式な組織のツールとして存在することはあり得ないのです。
by islandcenter
| 2016-07-11 10:44
| プライベートクラウド
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