OES Linux でフォルダの容量制限付きアーカイブ専用ファイルサーバー:サーバーをゴミ箱にしない工夫

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ファイルサーバーが常に抱える問題-ファイルサーバーはファイルのゴミ箱

部屋の中は、不要なもので一杯、ここで断捨離しなければ、と思いつつ、つい要るもの要らないものがブックシェルフに混在しているのが、私たちの暮らしなのですね。これが大家族なら、オカぁちゃんが「これ捨てるよ」と言っても、「いやぁだぁー」と子供に泣かれると困ってしまう。間違って捨ててしまうと晩飯も「食べたくねぇ」とゴネられます。

という事で、本棚にはよく読む本を置いておき、押し入れには、読むことはないけれど、時々必要になって引っ張り出してくる捨てられないデータというモノがあるんですね。子供のころのアルバムだとか、学校の卒業写真、人生でたった一度だけ取った英語の100点満点のテスト、先祖が残した貴重な資料。まそんなところでしょうか。

同じ事が、企業の中のファイルサーバーにも当てはまるわけです。ある調査では、サーバーの中の30%のファイルは「死んでるデータ」だそうです。

機械的に、「生きているデータ」「取っておきたいデータ」「死んでるデータ」「不要なデータ」と区分けして断捨離するのはシステム管理者としてできない事。実際のファイルの重要性の判断は、エンドユーザがある程度行わなければいけないわけです。目に見える倉庫の棚や、本棚と違って、目に見えないファイルサーバーのストレージは「醜い」「汚い」「乱雑だ」という事には気が付かず、ファイル整理の判断は難しいものです。

ファイルの断捨離は、利用者が行うべきであり、管理者はそのテンプレートを作ってやることが仕事となります。エンドユーザには中々嫌われる業務になるかも知れませんが、机の中や目に見える限られたスペースしかない物理的なファイルキャビネットの整理と同じく、利用価値のないファイルの整理もユーザの仕事なのです。

Linux 管理者なら、「アーカイブ」というのは tar とかのコマンドでファイルを圧縮してしまう事なのですが、業務の中でどのデータが重要でアーカイブして保存しておくことが重要かの判断はなかなか付かないものです。しかもいったん圧縮した内容は解凍しないと利用できないのですから、ユーザ側からすると、「アーカイブしたの忘れてた」という事になります。ましてやテープなどの外部メディアにアーカイブとっても、実際にその中のアーカイブデータが利用できるまでの道のりは低いわけですね。外部メディアにアーカイブするのはあくまでも「アーカイブのバックアップ」を目的とすべきでしょう。

ファイルサーバーはつねに増大するストレージにより、永遠に問題を抱えています。
何しろ、最近ではPCはノートブックやタブレットが主流になり、128GbのSSDとかしか記憶容量がないのです。しこに20Tbもの巨大なファイルサーバーがあると、たとえそいつは100人で共用している事にも気が付かず、「じゃぁディスクを増設して C:ドライブ丸ごとバックアップ」なんて無法な事をするエンドユーザもいるのです。

エンドユーザには気にならないものですが、ファイル共有用ファイルサーバーというのは、単にディスク一つを追加増設するだけでも大変な作業で、バックアップとリストア、バックアップに必要なメディアの確保、という膨大な作業が必要となります。

そこで、契約書や保存期間が法令や社内基準で定められているファイルを保管し、アーカイブとすることで、通常の「読み書き可能な共有フォルダ」「読み出し専用のフォルダ」「特定のユーザは書き込みや削除、移動はできるが読み込みと書き換えのできないアーカイブフォルダ」を作る事を考えてみましょう。

OES Linux のNSSファイルシステム

他のファイル共有システムのように「読み込み専用」「読み書き自由」の2種類の属性しかないファイルシステムと違い、Microforcus/Novell Open Enterprise Server(OES Linux) の NSS (Novell Storage Service)では[SRWCEMFA] のファイル・ディレクトリのトラスティやフォルダの属性が豊富で、フォルダのディスク容量クオータ(ディレクトリ単位の容量制限)ができるので、豊富なトラスティと属性を合わせて容量制限が利いたアーカイブ専用のフォルダ・ディレクトリを簡単に作ることができます


iManager からの Archive フォルダのアクセス権限

まず、Archive 専用のディレクトリを作り、このフォルダの読み込みだけのユーザと、読み込み、書き込みはできないが、ファイルの移動や削除ができるユーザ、グループを作ります。

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エクスプローラのフォルダのプロパティから見た場合

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Sales グループユーザはファイルの読み込み[ R F ]はできますが、移動、作成、削除[ WCE M ]が許可されていません。

ArchiveManager のグループユーザは、ファイルの読み込み、書き換え[ RW ]は許可されていませんが、ファイルの削除、作成(コピーや移動、上書き)[ CEFM ]は許可されています

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Sales グループのユーザはファイルの読み出しだけは許可されています。もし、Sales グループのメンバーは、普段使いのフォルダに作った「消さないでフォルダ」をアーカイブに移動させてもよいとするならば [ R C F ] の( create )権限を与えます。これにより、メンバーは「消さないでフォルダ」を「アーカイブに移動」させて、ArchiveManager グループメンバー以外は、削除したりアップデートできないようになります。

ただし、「ファイルの作成」はできても「削除、名前の変更」はできないので、誤ってこのフォルダで「新しいフォルダの作成」などを右クリックしてしまうと、当人には「削除できないフォルダ、ファイル」ができてしまいます。


一方、ArchiveManager グループのユーザはファイルやフォルダの作成、削除、移動は許可されますが、ファイルの閲覧、書き換えは許可されません。

条件は論理和ですから、両方のグループに所属している場合、[ w ] (書き込み)権がないだけなのでファイルの作成、コピー、削除、閲覧はできますが、ファイルの更新は許可されません。

ディレクトリ(フォルダ)のクォータ管理(容量制限)

ワークグループのディレクトリ(フォルダ)にはクオータ(容量制限)がかけられます。いくらファイルのセキュリティ機能があっても、フォルダのクォータ管理ができないと、狭い部屋(限られたリソース)にある、本棚はすぐに一杯になってしまいます。そこで、フォルダにクォータ(容量制限)をかけます。この作業は簡単で、システムが稼働中でも数クリックで設定され、即時有効になります。ある特定のユーザが大量のデータを作り、残りのメンバーはあまり使わない、というケースでもフォルダ容量制限が利いている限り、ユーザには関係なく、フォルダの容量制限が有効になります。

例えば、Sales フォルダには、外歩きであまりファイルを作らないユーザと、見積書の清書を行うアシスタントでは、作るファイルの量というのは違うという事です。ユーザクォータではこの様な気の利いた小回りができません。




OES Linux ファイルサーバーのディレクトリクォータ(フォルダの容量制限)

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例えば、普段使いのグループフォルダには10Gb、アーカイブフォルダには20Gbのクォータをかけておき、グループ作業用フォルダがクォータで満杯になった場合は、ArchiveManager グループに所属するユーザがグループフォルダから、アーカイブ専用のフォルダにファイルを移動させて、容量を開ける事ができます。

また、クォータが利いているアーカイブ専用フォルダがいっぱいになれば、まずファイルサーバーの中で参照されることがないだろうと思われるファイルは、光メディアやテープバックアップを行い、アーカイブの整理を行います。

また、容量制限がかかったアーカイブ専用フォルダは、普段あまり使われないファイルが多いという前提で、フォルダを作った時に「即時圧縮」の属性をつけておけば、ファイルの内容にもよりますが、 2~30% 程度は圧縮されるため、わざわざ ZIP 化したり tar.gz にする必要もありません。ファイルによっては、「ちょっと開くために時間がかかる」程度でユーザはファイルを開くことができます。

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「部外秘」のフォルダからは「権利継承」を削除する

「部外秘フォルダ」からは「権利継承」( Inherited Rights Filter ) から全ての権限を Revoke (はく奪)する事で、部外者からは表示されないようにします。
明示的に「部外秘フォルダ」に Trustee を与えない限り、ユーザやグループにはフォルダすら見えなくなります。

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このような感じでReadOnly フォルダ内の「部外秘フォルダ」自体が他部署では不可視になります。

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おまけ ポスト用フォルダ

Microforcus/Novell OES の NSS ファイルシステムでは、[ c ] 権だけのフォルダを作ることができます。このフォルダは、私は「ドロップボックスフォルダ」と呼んで位います。C権を与えられたユーザは、このフォルダにドラック&ドロップでファイルを保存する事だけはできます。しかし、フォルダを開いてファイルの読み書き、削除、変更どころか、フォルダを開く操作さえ拒否されます。つまり郵便箱( PostBox )のような使い方ができるわけですね。もちろんこの郵便箱を開いて中のファイルを収集するポストマンが必要なわけで、彼らにはファイルの移動、削除は許可されても、封筒を開封する(読み出し書き込み)権利はありません。

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例えば、健康診断などのセンシチブなデータのポスト場所や、学校の宿題の投函場所として使うことができます。一般ユーザは「春の健康診断」のPDF ファイルをポストして、ポストマンは、例えば「田中の健康診断データ.pdf」を「総務の投函場所に移動」させることはできるが、内容は読むことができない、という事になります。この場合、ファイルを読み書き可能なディレクトリにコピーしてしまえば読み書き可能なので、PostManager のアカウントは厳重に利用してもらう事になります。

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ファイルサーバーは企業のシステムとしては実に原始的で、古くから利用されているシステムです。過去も未来も、「ファイルサーバーのゴミ箱化」は避けて通れない問題で、システムコストの数十%を無駄に投資しています。

OES Linux は NetWare 時代からの「専用ファイルサーバーOS」です。はるか昔から、ファイルのトラスティ、ディレクトリクォータなど、豊富なファイル管理機能を備えています。

ディレクトリクォータを厳しく設定し、フォルダの管理を「生きているファイル」「あまり使われないファイル」「ほとんど使わないが保管すべきファイル」「死んでるファイル」とランク付けし、フォルダのアクセス制限を設計してしまえば、後は利用者側が限られたリソースを有効に利用できるのですね。



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by islandcenter | 2018-03-05 12:09 | OES Linux | Trackback | Comments(0)