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クラウド時代の激震!リース終了サーバーのHDDがオークションに、ユーザ企業は..

IT運用系の技術者としてショッキングな事件がありました。


日経の記事によると

神奈川県、行政情報に大量流出懸念 廃棄機器転売され

"県のサーバーを更新した際、取り外されたHDの廃棄を委託された事業者の社員がデータ消去の不十分な状態で一部を持ち出し、ネットオークションで販売した。データ量は最大54テラバイトに上る可能性があるという。"

まず総データ量は54Tbであること

"出品されたHD18個の半数は県が回収したが9個は未回収という。"

ここで鯖屋が考えるのは、

全部で18個の半分回収済み、半分の9個行方不明、合計18個、ここに 54Tbなら 54Tb/18玉=3TbのHDD

という計算になる訳です。18個の3TbのHDD。

朝日のこの記事では

「なんだこれは…」と絶句 HDD落札男性が見た中身

恐らく、ディスク1個をPCにつなげて、データ復旧したら、やばいデータがぞろぞろ出てきたわけですね。
で、私は思うのですよ。

「SAS Raidじゃないな」

ここで3Tbの18玉という数字を想像して、あ、これなら日時バックアップ+週次に使えば大体ひと月分のウィークデーのバックアップに相当するわけです。普通Raid が壊れると、まず私程度の一般的なスキルの持ち主では修復できません。それに SASなら、一般的なPCでは動かないし、高価なHBAアダプタが必要だし。Raid HBA が変わると Raid はまず再構成が始まります。もうこの時点でほぼ復旧できません。Raidの玉一個だけなら、「バラバラ殺人事件」の体の一部です。全体は復旧できない。

2019年の今ならわかるけど、たぶんサーバベンダー製3TbのSAS HDD なんて、あっても高価だし、おそらく数年前の導入時にはかなり希少だと思います。中古品でも、サポート切れHWの修理用として高価に取引されます
ただし、Raid が壊れた場合、私のようなパンピーな技術者や「愉快犯」程度では無理でも、その筋の「玉筋金太郎」のような、専門家ならゴルゴ13並みに不可能ではありません。Linux+XFSの様なセキュリティが強そうファイルシステムならまだしも、Windows+NTFS だと「なんちゃってエンジニア」でも簡単に使えるフリーソフトはたくさんありますからね。

怖いのはクラウドサービスを使っていて、使い終わった後のデータ処理ポリシーがブラックボックス。データ消去が顧客側のポリシーでコントロールできません。oneDrive なんて使って、オフィスデータをごっちょりため込んでいる運用者にとっては悪夢ですね。

私も経験ありますが、 Raid が壊れたケースでは、 Raid が壊れて完全データ復旧まで、玉筋金太郎に頼んで海外の提供先に出して二か月かかったそうです。メチャマイナーなNSSファイルシステムで、復旧にはン百Gbで、費用はン百万単位。でもすごいものですが、いるんですね。そんな玉筋金太郎な技術者って。

空中分解したスペースシャトルから地上にたたきつけられたハードディスクのデータを復元

Novell Storage Service

恐らくサーバーのシステム構成は、普通に SAS Raid6とかで、オークションで流れたのは、日時バックアップ用の外付けSATA HDDで、実データは3Tb程度+差分18個なのかもしれません。

ま、ここまでは推測ですけど...
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- 顧客としてやるべき事 -

今回の事件は、神奈川県庁が被害者のように見られそうですが、一番の被害者は納税者であり、個人情報が危険にさらされている神奈川県民なのですね。

多くの企業でサーバを固定資産にせず、経費処理しています。リース会社に返却する場合は、データの抹消はリース元に安易に任せず、ユーザ自身が責任をもってすべきなのです。

でもHDDはリース品なので、無傷で欠品なくリース会社に返却しなければならないわけです。とは言っても中のファイルとソフトウェア資産を残したまま返却するわけにはいかないので、利用するユーザ側としてはできる範囲で、データのシュレッドを行うべきだった、という事です。

データの完全消去

一般的にはアメリカ国防省がスタンダードとしている

1. 乱数書き込み3回
2. 最後に Null 書き


が一般的だと言われます。本来ならLinux のライブUSBで起動して

1. # dd if=/dev/urandom of=/dev/sda
2. # dd if=/dev/urandom of=/dev/sda
3. # dd if=/dev/urandom of=/dev/sda
4. # dd if=/dev/zero of=/dev/sda

を実行するわけです。今回の場合、27玉の HDD に全てにすべきだったのでしょう。ランダム書きは恐ろしく時間がかかるのですが、これを顧客側でやっておけ、という事です。たぶんひと玉当たり一日仕事です。全部でひと月かかるでしょう。


時間がなければ、デバイスの Null 書きだけでもすべきです。これなら数時間で終わります。ここまででもやっておけば、よっぽどその筋の玉筋金太郎でなければ、まず復旧できないのです。

openSUSE Leap 15.1 の Live USB で「初めてのどこでも Linux」の作り方

そんな面倒な事やってられないよ、と言われそうですが、データ消去にかかる費用もシステム移行にかかるコストとして計算すべきだったのかもしれません。




逆に今一番信用できる業界は普通の「PCリサイクル業者なのかもしれません。

何しろこういったインシデントがあった後は、業界自体が体制の見直しだとか、廃棄ルールの徹底をチェックしますからね。ひょっとしたら今が狙い時かも知れませんが、謳っている広告と実際の作業内容の乖離が大きかった事は、業界のダメージでしょう。

いわば「IT業界の最下流」である、データ破棄業者が信用できなければ、たとえ上流のデータセンターの厳しいセキュリティチェックがある、入退室管理システムも信用できない。クラウド次第の激震、クラウド契約終了後の、残ったデータの破棄はどうするのか。おそらく契約書にはなにも書かれていない。

何しろ持ち込み禁止の「入退室管理ができている隔離された部屋から、リュックに詰め込んだHDDが運び出された」わけです。同じことが、iDCやクラウド運用ビジネスで行われることも「あり得るな」という印象を与えた事は大きな事件です。




BSE騒動直後、品川港南口付近の「焼肉屋」はずいぶん安い価格でうまい肉食わせてもらった覚えがあります。業界が岐路にある時は、真摯に対応してくれるものかもしれません。今、一番信用できるのは他のPC破棄業者かもしれませんね。






by islandcenter | 2019-12-07 16:45 | 雑文 | Comments(0)