2020年 06月 24日
WLS2 SUSE Linux Enterprise (SLE15sp1) GNOME 環境とコンパイラを導入
※ 重要:基本的には SLE(SLES/SLED) は有償サポートのサブスクリプションを購入して利用するものです。この点、Microsoft の App Store では WSL 用 SLE15 SP1 を無償で配布しているわけで、もし不具合があった場合はどちらが面倒みるのかは分かりません。その点をご理解の上お読みください。書いた私にも責任がある記事ではありません。悪しからずご理解ください。
つまり、何か問題があれば SUSE Linux Enterprise はサブスクリプション買えよ、という事です。
- ここまでの長い道のり、事前にハマった事 -
Windows10 1903 から 2004、ISOでアップデート
https://islandcnt.exblog.jp/240396535/
Windows10 2004(20H1) で WSL1から WSL2 へのアップデート
https://islandcnt.exblog.jp/240397399/
WSL2 で export DISPLAY=:0 で GUI が動かない: Windows10 2004
https://islandcnt.exblog.jp/240399231/
- 準備:パッケージDVDの入手 -
さて、サブスクリプション云々は置いておきますね。
まず、App Store にある SUSE Linux Enterprise 15 SP1 は、カーネルと最小限のツールが入った Base System だけしかありません。初めて SLE15 をインストールした経験がある方なら陥った経験があると思いますが、Add-on Products をインストールしないと
「なにこれ?」
となります。実物の SUSE Linux Enterprise 15 の Base System だけのだけインストールした、必須の最小限の構成です。という事で SLE15 の追加パッケージは、 SUSE のダウンロードページから、SLE-15-SP1-Packages-x86_64-GM-DVD1.iso をダウンロードしておく必要があります。60日間の無料使用ができる(その後は自己責任でね)ので、パッケージDVDの1枚目を手に入れておきます。サイズは気合の 8.2Gb あります。
最近、Microfocus から独立してサイトの作りが変わったので、グルグル回って正直わかりにくい。未登録の場合、無料のユーザ登録が必要です。
カスタマ登録したら、サインインして、次の URL からダウンロードできるようです。
https://www.suse.com/download/sles/
バージョンとアキテクチャを選んで右ペインの中ほどの SLE-15-SP1-Packages-x86_64-GM-DVD1.iso をダウンロードします。サイズが大きいので、ブラウザではなく、レジュームできるダウンローダーを使うと良いでしょう。
因みに SLE15 SP2 もありますが、2020年6月現在、ベータ版です。WSL2 で使うのは SLES15 SP1 の方です。間違えないように。
- パッケージDVD1 -
Package DVD1 の ISO ファイルが手に入ったら、構内ネットワークにある HTTP か FTP サーバーにディレクトリを掘ってマウントして HTTP:// アクセスできるようにします。# mount -o loop <pathto>SLE-15-SP1-Packages-x86_64-GM-DVD1.iso /srv/www/htdocs/pkg1dir みたいに http サーバーのディレクトリにマウントしておくと良いでしょう。
ただし、今回は WSL なので、WSLにマウントされた Windows のファイルシステム上にあるままで ISO イメージから、追加パッケージをインストールすることができました。
- まずは SLE15-SP1 のWSL2 への変換 -
Microsoft Windows App Store から入手した SLE15 のアプリは WSL1 の物です。WSL2 に変換しないと地味に問題が出てくるようなので、一旦起動してみたら、その後イメージ変換します。
C:\>wsl -l -vNAME STATE VERSION* openSUSE-Leap-15-1 Running 2SLES-15-SP1 Stopped 1C:\>wsl --set-version SLES-15-SP1 2変換中です。この処理には数分かかることがあります...WSL 2 との主な違いについては、https://aka.ms/wsl2 を参照してください変換が完了しました。C:\>wsl -l -vNAME STATE VERSION* openSUSE-Leap-15-1 Running 2SLES-15-SP1 Running 2C:\>
参考
Windows10 2004(20H1) で WSL1から WSL2 へのアップデートhttps://islandcnt.exblog.jp/240397399/
- 追加パッケージのインストール -
なぜか、App Store から入手した SLE15 には奇跡的に CUI 版 yast コマンドが付いていて何気に有難い。
YaST を使って、Add-On Products のインストールをします。
# yast > Software > Add-On Products
何も追加プロダクトがありません。Add します。
ここで、パッケージDVDのパスを指定します。HTTP サーバーの場合は HTTP を。他に FTP や SMB も使えます。
今回は "Local ISO Image... "を指定します。
"Browse" というボタンが出てくるので、 /mnt/driveletter /<path> xxxx.iso を指定して OK
次に追加するスタンドアローンインストール用リポジトリのリストが出てくるので、Basesystem-Module, Desktop-Application-Module, は最低、他に Server-Application-Module と言うのが下の方に出てくるので、これもスペースキーでチェックを入れておきました。
Nextで次のスクリーンで "Filter" から "Patterns" にトグルします。
ここで、インストールするパターンを選びます。 gedit や yast2, nautilus など、少なくとも「使いそうだよね」というパターンとして GNOME Desktop Environment をチェックしておきます。下の方に Base Development という項目があるので、これをチェックすれば gcc コンパイラがインストールされます。※ SLE で LibreOffice や GIMP を使いたい場合、 Workstation Extension Modules のサブスクリプションが必要です。年間7,000円位です。
スタンドアローンインストール用のローカルディスク内のリポジトリが追加されます。
ここでOKして、追加パッケージをインストールします。
- GUI が使えるか -
いつもお世話になっている万能の萬金丹 MobaXterm を起動して、 X Server をオンにしておきます。 Windows から Mac へ MobaXterm で VNC デスクトップ共有接続 https://islandcnt.exblog.jp/240147292/ WSL2 で export DISPLAY=:0 で GUI が動かない: Windows10 2004 https://islandcnt.exblog.jp/240399231/ あとは GUI アプリケーションを動かしてみるだけ goblin:/ # grep nameserver /etc/resolv.conf nameserver 172.18.208.1 goblin:/ # export DISPLAY=172.18.208.1:0 goblin:/ # export | grep DISPLAY declare -x DISPLAY="172.18.208.1:0" goblin:/ # gedit & goblin:/ # yast2 &YaSTも gedit も問題なく動くようです。 cc コマンドでコンパイラが動くか確認してみました。 久しぶりのC言語。これも問題ないようです。
- まとめ -
SLE よりも openSUSE Leap 15.1 の方が開発環境は揃っている様です。まぁ何を開発するかにもよります。SLE ではせいぜいデバイスドライバのコンパイルとインストール位しか使わないでしょう。 とは言え、私の様に コマンドライン大嫌いなシステム管理運用担当者としては、GUI で最低限のテキスト操作ができて、nautilus が使えて、YaST GUI が使えるのは心強いです。 ただし、SUSE の公式リポジトリを使って最新版のパッケージに更新するには、サブスクリプションの購読が必要でしょう。その際 WSL 上でのサポート範囲が SUSE にあるのか Microsoft に責任があるのかは不明です。たぶん SUSE と Microsoft の関係は悪くないので、お互いのすみ分けができていて、有償版の純血 SUSE , SLE15 が App Store で無償配布されているのでしょう。このあたりは、「なんちゃって RedHat 」はあっても、純粋な RHL が App Store に出てこないところに違いを感じます。 WLS で SUSE Linux を使うなら、公式リポジトリが仕えて、パッケージが豊富な openSUSE 版をお勧めします。SLE 版はかなりカスタマイズが面倒です。もっとも WLS だけじゃなく、実物も面倒なことは同じなんですけどね。vi が使えてシェルが書ければいいや、程度なら SLE でも構わないでしょう。特に、エンタープライズシステム開発に近い環境が必要なら WSL 版 SUSE Linux Enterprise 15 SP1 は一つの選択肢です。