WLS2 SUSE Linux Enterprise (SLE15sp1) GNOME 環境とコンパイラを導入

Windows10 2004(20H1) WSL2 上に、SUSE Linux Enterprise 15 sp1 (SLE15sp1) を入れて、C 言語の開発環境や、主な GUI アプリケーションを導入するまでの手順を説明しています。

「どうしても WSL2 で GUI のオフィスや GIMP を使いたい」場合にお役に立てばと思います

※ 重要:基本的には SLE(SLES/SLED) は有償サポートのサブスクリプションを購入して利用するものです。この点、Microsoft の App Store では WSL 用 SLE15 SP1 を無償で配布しているわけで、もし不具合があった場合はどちらが面倒みるのかは分かりません。その点をご理解の上お読みください。書いた私にも責任がある記事ではありません。悪しからずご理解ください。

つまり、何か問題があれば SUSE Linux Enterprise はサブスクリプション買えよ、という事です。



- ここまでの長い道のり、事前にハマった事 -

Windows10 1903 から 2004、ISOでアップデート
https://islandcnt.exblog.jp/240396535/

Windows10 2004(20H1) で WSL1から WSL2 へのアップデート
https://islandcnt.exblog.jp/240397399/

WSL2 で export DISPLAY=:0 で GUI が動かない: Windows10 2004
https://islandcnt.exblog.jp/240399231/


- 準備:パッケージDVDの入手 -

さて、サブスクリプション云々は置いておきますね。

まず、App Store にある SUSE Linux Enterprise 15 SP1 は、カーネルと最小限のツールが入った Base System だけしかありません。初めて SLE15 をインストールした経験がある方なら陥った経験があると思いますが、Add-on Products をインストールしないと

「なにこれ?」

となります。実物の SUSE Linux Enterprise 15 の Base System だけのだけインストールした、必須の最小限の構成です。という事で SLE15 の追加パッケージは、 SUSE のダウンロードページから、SLE-15-SP1-Packages-x86_64-GM-DVD1.iso をダウンロードしておく必要があります。60日間の無料使用ができる(その後は自己責任でね)ので、パッケージDVDの1枚目を手に入れておきます。サイズは気合の 8.2Gb あります。

最近、Microfocus から独立してサイトの作りが変わったので、グルグル回って正直わかりにくい。未登録の場合、無料のユーザ登録が必要です。
カスタマ登録したら、サインインして、次の URL からダウンロードできるようです。

https://www.suse.com/download/sles/ 

バージョンとアキテクチャを選んで右ペインの中ほどの SLE-15-SP1-Packages-x86_64-GM-DVD1.iso をダウンロードします。サイズが大きいので、ブラウザではなく、レジュームできるダウンローダーを使うと良いでしょう。
因みに SLE15 SP2 もありますが、2020年6月現在、ベータ版です。WSL2 で使うのは SLES15 SP1 の方です。間違えないように。

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- パッケージDVD1 -

Package DVD1 の ISO ファイルが手に入ったら、構内ネットワークにある HTTP か FTP サーバーにディレクトリを掘ってマウントして HTTP:// アクセスできるようにします。

# mount -o loop <pathto>SLE-15-SP1-Packages-x86_64-GM-DVD1.iso  /srv/www/htdocs/pkg1dir


みたいに http サーバーのディレクトリにマウントしておくと良いでしょう。

ただし、今回は WSL なので、WSLにマウントされた Windows のファイルシステム上にあるままで ISO イメージから、追加パッケージをインストールすることができました。


- まずは SLE15-SP1 のWSL2 への変換 -

Microsoft Windows App Store から入手した SLE15 のアプリは WSL1 の物です。WSL2 に変換しないと地味に問題が出てくるようなので、一旦起動してみたら、その後イメージ変換します。

C:\>wsl -l -v
  NAME                  STATE           VERSION
* openSUSE-Leap-15-1    Running         2
  SLES-15-SP1           Stopped         1

C:\>wsl --set-version SLES-15-SP1 2
変換中です。この処理には数分かかることがあります...
WSL 2 との主な違いについては、https://aka.ms/wsl2 を参照してください
変換が完了しました。

C:\>wsl -l -v
  NAME                  STATE           VERSION
* openSUSE-Leap-15-1    Running         2
  SLES-15-SP1           Running         2

C:\>

参考
Windows10 2004(20H1) で WSL1から WSL2 へのアップデート
https://islandcnt.exblog.jp/240397399/


- 追加パッケージのインストール -

なぜか、App Store から入手した SLE15 には奇跡的に CUI 版 yast コマンドが付いていて何気に有難い。
YaST を使って、Add-On Products のインストールをします。

# yast > Software > Add-On Products

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何も追加プロダクトがありません。Add します。

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ここで、パッケージDVDのパスを指定します。HTTP サーバーの場合は HTTP を。他に FTP や SMB も使えます。
今回は "Local ISO Image... "を指定します。

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"Browse" というボタンが出てくるので、 /mnt/driveletter/<path>xxxx.iso を指定して OK

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次に追加するスタンドアローンインストール用リポジトリのリストが出てくるので、Basesystem-Module, Desktop-Application-Module, は最低、他に Server-Application-Module と言うのが下の方に出てくるので、これもスペースキーでチェックを入れておきました。

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Nextで次のスクリーンで "Filter" から "Patterns" にトグルします。

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ここで、インストールするパターンを選びます。 gedit や yast2, nautilus など、少なくとも「使いそうだよね」というパターンとして GNOME Desktop Environment をチェックしておきます。下の方に Base Development という項目があるので、これをチェックすれば gcc コンパイラがインストールされます。

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※ SLE で LibreOffice や GIMP を使いたい場合、 Workstation Extension Modules のサブスクリプションが必要です。年間7,000円位です。 

スタンドアローンインストール用のローカルディスク内のリポジトリが追加されます。

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ここでOKして、追加パッケージをインストールします。


- GUI が使えるか -

いつもお世話になっている万能の萬金丹 MobaXterm を起動して、 X Server をオンにしておきます。

Windows から Mac へ MobaXterm で VNC デスクトップ共有接続
https://islandcnt.exblog.jp/240147292/

WSL2 で export DISPLAY=:0 で GUI が動かない: Windows10 2004
https://islandcnt.exblog.jp/240399231/

あとは GUI アプリケーションを動かしてみるだけ


goblin:/ # grep nameserver /etc/resolv.conf
nameserver 172.18.208.1
goblin:/ # export DISPLAY=172.18.208.1:0
goblin:/ # export | grep DISPLAY
declare -x DISPLAY="172.18.208.1:0"
goblin:/ # gedit &
goblin:/ # yast2 &


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YaSTも gedit も問題なく動くようです。

cc コマンドでコンパイラが動くか確認してみました。

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久しぶりのC言語。これも問題ないようです。







- まとめ -
SLE よりも openSUSE Leap 15.1 の方が開発環境は揃っている様です。まぁ何を開発するかにもよります。SLE ではせいぜいデバイスドライバのコンパイルとインストール位しか使わないでしょう。

とは言え、私の様に コマンドライン大嫌いなシステム管理運用担当者としては、GUI で最低限のテキスト操作ができて、nautilus が使えて、YaST GUI が使えるのは心強いです。

ただし、SUSE の公式リポジトリを使って最新版のパッケージに更新するには、サブスクリプションの購読が必要でしょう。その際 WSL 上でのサポート範囲が SUSE にあるのか Microsoft に責任があるのかは不明です。たぶん SUSE と Microsoft の関係は悪くないので、お互いのすみ分けができていて、有償版の純血 SUSE , SLE15 が App Store で無償配布されているのでしょう。このあたりは、「なんちゃって RedHat 」はあっても、純粋な RHL が App Store に出てこないところに違いを感じます。

WLS で SUSE Linux を使うなら、公式リポジトリが仕えて、パッケージが豊富な openSUSE 版をお勧めします。SLE 版はかなりカスタマイズが面倒です。もっとも WLS だけじゃなく、実物も面倒なことは同じなんですけどね。vi が使えてシェルが書ければいいや、程度なら SLE でも構わないでしょう。特に、エンタープライズシステム開発に近い環境が必要なら WSL 版 SUSE Linux Enterprise 15 SP1 は一つの選択肢です。

by islandcenter | 2020-06-24 11:07 | Windows | Comments(0)