ARMに失敗した Windows RT、 ARM ベースから無事ラウンチした Apple M1

ARM で失敗した Microsoft Windows RT, ARM で成功しそうな Apple macOS big Sur.

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ー無事に出産されたApple M1ー

2020年秋、出荷された Apple M1 Mac + macOS big Sur に関しては、悪い評価を出しているメディアは、驚くべきことにほとんどないようです。実際にベンチマークを取ってみたら、結構早かったとか、Rosseta 2 によるバイナリ変換が始まる初回起動を除けば、インテルベースのバイナリでも、十分なパフォーマンスをだしているとか、そんな話に巷は溢れているのですね。

また、多くのメディア上のテスターが評価機として使っているのが、ベーシックモデルの Mac book Air なのです。

8Gb ユニファイドメモリ256 Gb ストレージ 104,800円(税別)という価格は、ほぼWindows PC より2〜3割は割高な Apple Mac にしては、お手頃感がすごい。私が初めて買った 1998 年発売の iMac ボンダイブルー iMac G3 178,000 円と同じくらい衝動買いしたくなる価格です。従来 Mac Book Air とデザインはほとんど変わらない代わり映えのない羊の狼とは言え、私なら消耗備品費で買える十万円切っていたら間違えなく Apple Store を開いていたでしょう。

このスペックで不満を言っているテスターが見当たらないのがまずすごい。
また、所詮モバイルプラットフォームと考えられていた ARM プラットフォームの意外な性能の高さを証明してくれた事です。所詮は「携帯電話向けSoC」と考えられていた ARM アキテクチャでも、きちんと正しくデスクトップワークに向く使い方ができることを macOS Big Sur で実現できるわけです。

しかし一番すごいのは、ARM ベースで無事ラウンチできたことなんですね。

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ー飛べなかった鳥、ARM 版 SurfaceRT と Windows Mobileー

とりあえず安産となった Apple M1 に対して ARM と言えば遂に成層圏にも達せなかった Windows 系 ARM アキテクチャがあります。Surface RT (Windows RT) と Windows Mobile は見事に飛べない鳥でした。

飛べない鳥でも地を這うダチョウならまだしも、決め手となるべき Windows Store のっズッコケぶりが足を引っ張り、RT とWindows Mobile で使えるハズの UWP (ユニバーサルウィンドウズプラットフォーム)の立ち上げに失敗したのは頭が痛かった訳ですね。

共に ARM ハードウェアプラットフォームで動くわけですが、x86-64 バイナリが使えないのは痛かった。膨大なバイナリ資産を使えないハードウェアにはユーザは見向きもしないし、使えない Windows Mobile より Android や iPhone の方が、手軽で「使える」訳です。

ARM 版 Windows 10 もあるにはある(らしいことを初めて知った)が、これも x86-64 は動作せず、32ビット API しか動かないらしい。

「所詮モバイルプラットフォームの ARM で x86 のエミュレーションなんて無理」多くの Windows ユーザはそう考えるでしょうね。私もそう思っていました。でも Apple M1 はやっちゃった。そして一応のスタートアップ評価は○だった。ARM の評価が高いなんて、一般コンシューマには評価する手段が無かったンです。


ARM 版 Windows 10

ってか、そんなのがあることさえ知られていないわけだから、よほど誰も寄り付かないでしょうね。


ー魅力的だが食指が動かないんだ Apple M1 は(仮想化の問題)ー

もし、私の手元に自由に使える10万円があり、あなたにオススメするPCは何かと聞かれれば、間違えなく「今なら Apple M1 Mac Book Air」と答えるでしょう。それほど魅力があるんです。

でも、インフラ系エンジニア(一応)のワタシ個人としては、やっぱり躊躇してしまうんです。

その理由は「仮想化」の問題なのですね。やっぱり仮想化と言えば XEN か KVM という事になり、x86系プラットフォームで作ったマシンイメージを移植する都合で、Apple によって非弱なイメージを持つに至った Intel プラットフォーム同士のマイグレーションができない。

もっとも、今のデータセンターで使われているインテルプラットフォームが大挙して ARM に移行すれば、それは自分のPC環境を ARM ベースに移行する理由になるのですが、どうもその気配がない。やっぱり 「Windows が動いてナンボ」の PC 業界ですから ARM ベースの自作PCやベアボーンが存在しないのはマイナス面が大きいわけなんです。探してもラズパイ位しかない。

しかし、インフラ系技術者が、顧客のシステムメンテナンスや必要なドキュメント作成に使えるコンピュータを選べ、となれば、やっぱり Apple M1 は一つの選択肢になるでしょうね。あえて Windows を選ばなければならない理由がなくなってしまったのです。

もし、アプリケーションベースの仮想化(VMware や Parallels)でもいいけど、Windows Hyper-V 並に XEN か KVM もどきの OS ネイティブの強力なハイパーバイザーが macOS Big Sur に実装されたらもうそれでいいわけですよ。

ARMへの移行で変わるMacの「仮想化」

もっとも、プロプライエタリな Apple が「GPL汚染」を避けることは明らかなので、当分は XEN, KVM とは互換性はあっても独自にハイパーバイザー開発するんでしょうね。

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結局のところ、Windows が動いてナンボの PC 業界ですから、ARM 版に見事に失敗している Microsoft を見ていると、Wintel 連合はまだ巨大だ、と言うことだし、ARM 版 PC を期待する自分はやっぱりオカシイのかな、と思うわけです。でもねぇ、 Apple M1 の成功を見ていると、ARM ベースのPCとか期待しちゃうンですね。

でも、Apple M1 のラウンチぶりを見ていると、自作 PC やベアボーンキットが ARM で構成されて、その上で Linux やインストール可能な Chrome OS や Android なんかが出てくるようになれば、今の PC 業界もガラッと変わりそうなそんな気がします。何しろ ARM Apple M1 は意外なパフォーマンスの高さを mac と言う身近な世界で実力を示したンですね。

Apple M1+ macOS BIg Sur は PC業界、PCサーバー業界に ARM アキテクチャの可能性を実現してしまったのですね。

多分一番 ARM に食指を動かしているのは、電力消費に悩むデータセンター業界じゃないのかな? と思います。





by islandcenter | 2020-11-20 20:23 | 雑文 | Comments(0)