社会全体のリテラシのなさが呼ぶ GIGA スクール構想の落とし穴。いじめ問題。

GIGA スクール構想についてはは以前 ChromeBook が売れているという事を書いたのですが、

GIGA School 構想でバカ売れした ChromeBook、変わるPC業界

暗い一面もあります。それが「いじめ問題」特に児童が居住地により選択肢がない公立の小中学校では顕著なのでしょう。何しろ子供ですから、私も子供の頃やりましたがカエルの尻に爆竹を突っ込むような、自分の行為の残酷性に無知で、意外と狡猾に不備を突いてくる。子供は周囲が思うほど無知なようで、実は賢いのです。

プレジデントオンラインの記事から

【告発スクープ】小6女子をいじめ自殺に追い込んだ「一人一台端末」の恐怖

東洋経済オンラインから

罪意識が希薄「SNSいじめ」から子ども守るネットリテラシーの高め方

パスワードとIDは”公開”されていた

素人でもこれはイカンと思われるのは「パスワードが公開」されているケースです。ログインIDは例えばイニシャル。パスワードは "12345678" で固定で変更する事もできない。

いや、大昔、某短大の仕事でありましたよ。PC 立ち上げたら教室の学生全員が GUEST でログインするって学校。学校の仕事は随分やったけど、この仕事は一番ひどい例でしたけど、基本的にプリンタの共有が目的だった 1990 年代の初めだったからそれでいい。

でも今は、デバイス自体にパーソナリティや個人認証が必要な時代なんです。パーソナルデバイスが開けたら、そのまま銀行の振込だってできる時代なんです。デバイスロック解除に必要なIDとパスワードが共通で自分で変更できないなんて考えられない。

なら、いっそ全員 GUEST ログインさせればいい。その代わり GUEST ユーザはブラウザとか天気予報は使えるけど、SNS は使えない。そうやって運用している所まだあるんでしょうね。全員ゲスト。


パスワード変更はスマートフォンを使った二段階認証

なぜパスワードは共通化され、変更できない? その理由は携帯電話を使った二段階認証にあります。多くのデバイスやアプリケーションが、携帯デバイスへの認証コードを要求している訳なので、簡単にデバイスのパスワードを変更したり、アプリケーションを利用できない。

ましてや、相手は児童ですから、パスワード云々を説明して理解させることは困難な訳です。パスワードの管理や変更を学校側がやるか、父兄がやる事なのか。どちらもやりたくないのが双方の言い分でしょう。


利用方法は無制限か強い制限付きか

家庭では親がデバイスの Google アカウントの利用時間に制限を掛けているのに、何故か深夜でもTouTube を見ている。気が付いて調べたら、学校で使っている Google のアカウントで利用していた、という事例もあるそうです。学校では支給したデバイスの Google アカウントの利用方法には制限を与えず、積極的に使う方向で運用していたという事です。子供は親が考えるほどバカではない。

既存の Google アカウントに管理機能を設定する

誰が悪いのか

SNS を使ったいじめは誰が悪いのか? こういった問題があった時に必ず始まるのが犯人捜しです。

・本人(子供)が悪い
・サービス提供者が悪い
・問題の周囲の組織(自治体の学校、教育委員会)が悪い
・現場を無視した GIGA スクール構想(政府)が悪い
・親が悪い

まぁ悪者を見つけたくなるのはわかりますよ。果たして誰が悪いのでしょうか。

ただいじめ問題は昔からあったことで、いじめの手段に新しいネタが増えたという事なのですね。いじめのはじまりが GIGA スクール構想の失態であると決めつける訳にはいかない。不幸にもこどものいじめ問題は、今にはじまったことではないわけなんです。

子供のいじめ問題は日本特有のものではなく、海外でも問題になっているのです。今昔東西問わずいつも問題になってきたのですね。

第三次産業では先進国と言えないニッポン

GAGA スクール構想に無理があった、と言う意見には耳を貸したくはありません。基本的な問題は、児童生徒、父兄、教育担当者など、GIGA スクール構想に関わる全ての人々の情報教育に対するリテラシのなさが原因なのです。ICT へのリテラシのなさが、何時までも製造立国ニッポンの第二次産業への依存から国際的な三次産業に脱却できない根本的な問題じゃないのかなと思うんです。

既に日本は半導体、通信機器、ITサービスではもう既に後進国なのですね。これらのビジネスは「輸出」できるネタがありません。特に深刻なのはITサービスの分野です。国内にITサービスの提供者はあってもあくまでも国内需要を満たすだけのガラパゴスソフトウェア、ガラパゴスサービスでしかありません。米国や中国の様に、国内需要だけでビジネスが成り立つ地域と異なり、人口の少ない日本の需要だけでは世界のスタンダードは取れません。いい例が、日本国内だけで閉じて衰退した mixi のサービスでしょう。1千万ユーザが登録されてしまえば急激に進化が鈍ります。日本で成功したら海外に出ていく。それでは遅い。最初から海外向けに、日本からサービスを開始する。

いかしそれではうまく行かないので最初から海外拠点で起業する日本人は多いと思います。日本の社会が IT サービスに投資をしない。親から相続した不動産担保でもなければ銀行は金を貸さない。

ICT 分野で先進国日本の輸出産業になっているのは、一部の半導体製造関連の装置、素材と一部のサービスに過ぎないのです。ま、あってもアニメかゲームか。後は後進国になりつつある。そして、一次産業より二次産業、そして三次産業となるにつれ、製品とサービスの付加価値が高まり高収益を生み出すのです。 インテルのチップ一つ取ってみても、一次産品であるアトムの段階まで分解すれば、十円玉の価値もない。そんな安価なモノをセッセと作っているのがニッポンの最先端製造業なのです。ICT の分野では圧倒的に IT サービスの競争力がないのが、私達の問題です。

GIGA スクール構想でばらまかれたデバイスは、深い制限を設けず、自由と民主主義に一緒に付いてくる問題を併せのんで推進すべきでしょう。

まとめ

GIGA スクール構想によって、教育現場にばらまかれたいじめが問題となっています。そこで露見したのは、地域自治体の教育現場、家庭、政府、全てのレベルでのリテラシの低さが見えてきました。

大ぶろしきを広げてしまえば、根本的な問題は後進国化し、製造業に依存してサービスを収益化できない日本の IT サービス産業の限界、ホワイトカラーの生産性の低さ、ガラパゴスサービスから脱却できない産業体質を何とかするには、キッズどものタブレットを通じて未来を除いて欲しいのです。




by islandcenter | 2022-02-18 09:48 | 雑文 | Comments(0)