2022年 03月 12日
M2 mac はなかった。次はiPhone? 居直るM1 チップ

これが Apple の戦略の一つであれば、答えは面白い。既に出来上がって成功した筐体、必要充分なカメラとディスプレー。そこに乗ってくる最新のA15チップと5G対応。古いハコに最新技術を詰め込んでローエンドを作り上げる。これでApple が生産する旧世代の SoC をサプライチェーンから一つ減らせる。つまり、ローエンドモデルであっても、ハイエンドのチップの性能を載せてローエンドの底上げでユーザを囲い込み、ハイエンドチップの生産効率を上げて、プレミアム感と利益率の高い両立を狙っている訳なんですね。
今買える mac の最強(たぶん)として登場したのが Mac Studio Ultra なのですが、こいつは M1 Max の「ニコイチ」チップなんですね。Mac Book Pro でも化け物なのに、これをニコイチしちゃう。他のPCメーカーなら、高クロック版だとかコア数を増やすところなんですけど、Apple はそれをしなかった。既存の M1 チップのニコイチというビックリ手段を出してきたのですね。クロックを上げるとかの手段ではなく、枯れた M1 アキテクチャのニコイチ戦略ですね。
iPad Air も M1 チップを搭載してきました。Bionic系じゃなくM1 iPad Pro ですらオーバースペックとの評判なのですが、今度は iPad Air に M1 チップが載ってきた。iPad Pro とは、ディスプレーやカメラが違う位で性能は一緒。A15 あたりで攻めてくるかと思ったらいきなり M1 チップですもん。ここまでM1が使われるとはほとんど予想されていなかったようだ。
期待していた M2搭載の mac は出なかった。M2 mac Book Air とか出たらポチるトコロなのに 出なかった。どころか、mac Studio Ultra でさえ M1ニコイチ SoC なんですね。「最強」を謳うなら、「最新のSoC」である M2 チップ搭載という手段で発表されても良かったのですが、既存の M1 ベースの Ultra ニコイチチップなんです。つまり、Apple 的には M1 の設計が現時点では枯れていて最高なのであり、ローエンドからハイエンドまで、しかも iPad まで M1 オールラインアップなのです。
オールラインアップの方が、生産効率や歩留まりの点で都合がいいわけなのです。
そう、iPhone SE3 が A15 チップのローエンド方向のオールラインアップに加わったように、mac Studio Ultra は M1 シリーズのハイエンドに向けてのオールラインアップを構成している訳なんです。
Apple は M2 と言われる新しいチップを載せた mac を販売するか。多分近い内にはありそうなんだけど、M1 が登場した時ほどのインパクトはなさそうな気がします。それくらい M1 Ultra のインパクトは大きかったのです。恐らく mac のハイエンドでは M1 シリーズで攻めて、M2 が出てきても M1 Ultra と競合するようなチップは当面出さないでしょう。
となると、M1 チップのローエンドを飾るのは iPhone そのものになる日が来るのもおかしくない。iPad ですらオーバースペックなオールM1ラインアップに加わったのだから、この秋の iPhone そのものに M1 チップが載せられてもおかしくない、と考えるのは飛躍しすぎでしょうか。Apple としては A15 シリーズと M1シリーズの二つを使い分ける理由はないでしょう。M1 シリーズにそろえてしまった方が歩留まりも製造コストも下がるし、PC用チップをスマートフォンに採用するという驚きのプレミアム性もある訳です。
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