2022年 06月 30日
SUSE Linux Enterprise Server 15 sp4 (SLES15sp4) インストール
openSUSE Leap 15.4 インストールとファーストインプレッション
ダウンロードは次のアドレスから入手できます。あらかじめ SUSE に無料でアカウントを登録しておく必要があります。x86-64 用メディアと ARM 向けのメディアがありますが、ここでは x86-64 用の Full メディアをダウンロードします。サイズはそれぞれ
x86_64 Media1 : 13Gbx86_64 Media2: 26Gb
です。Media1 はインストール用のバイナリ。Media2 はソースコードなどが入っているようです。通常インストールメディアは、Media1 だけで良いようです。SLE15 からユニバーサルインストーラになったため、DVD メディアが複数必要でしたが、最近の傾向で、USB メモリが前提となってきたせいか、インストールフルメディアのサイズが大きくなっています。一方、サイズの小さなネットワーク用インストールメディアもありますが、このメディアを使うにはサブスクリプション購読が必要です。一通り検証できた後ならこれを使うこともありですが、いきなり最新のカーネルパッチが当てられると、後にハードベンダーが提供するプロプライエタリなデバイスドライバがコンパイルエラーを起こしてインストールできないケースがあったので、Full メディア版で一通りインストールして、周辺機器の動作を確認するようにしています。
ここでは、KVM-qemu 環境で動かしましたが、ベアメタルハードウェアにインストールする場合は、Full-Media1.ISO を抽出した、USB メモリから起動することになると思います。USB メモリも安いのですが、いかんせん最近は速度面で不利です。事前にローカルネットワークに、HTTP サーバを用意して、インストーラが起動したら、HTTP サーバをインストールソースとしてみました。他にも SMB や FTP なども利用できます。もちろん、そのまま USB メモリなどから直接インストールしても良いのですが、あらかじめインストールメディアをローカルネットワークの HTTP サーバやSMB, FTP サーバに用意しておくと、後の YaST でのセットアップ作業が効率的になります。ここでは、HTTP サーバにインストールメディアを用意しておきました。
yourwww: # mount -o loop <path-to>/xxxxFull-Media1.ISO /srv/www/htdocs
という感じで HTTP サーバにマウントしておけば、これをインストールソースに利用できます。
公式マニュアルはこちら
8 インストール手順
このスクリーンから、F2キーで言語を日本語にできますが、お勧めはしません。エラーが出てきた場合の日本語エラーメッセージは情報が少ないので、サーバ用途ではよほどの理由がない限り、英語で進めることをお勧めします。SLED ( Desktop )用途や、openSUSE Leap の場合は日本語でも構わないと思います。
SLE は openSUSE Leap と異なり、ここで Role を選択します。ここでも言語が選べますが、英語のまま進めます。SUSE Linux Enterprise 15 sp4 を選びます。また、ここでキーボードを選んで、特殊キーなどの配置を確認してください。
License Agreement > Agree
ここでは、登録をスキップします。インストール後、デバイスドライバなどが完全に動いてから、YaST から購読を登録してアップデートを更新するのが良いでしょう。
Registration > Skip registration
サブスクリプション購読の申し込みはオンラインでも申し込むことができます。
Shop Online : SUSE Linux Enterprise Serverhttps://www.suse.com/shop/server/
次に拡張モジュールを指定できますが、ここは最小限の指定だけで結構です。もしくは、他にインストールソースが指定できない場合は、この画面で、そのままブートメディアからインストールする拡張機能を指定します。
USB メモリなどのメディア以外をインストールソースに使える環境では、次の画面から別なソースを指定できます。
Add ボタンでインストールソースに、ローカル HTTP サーバなどを追加します。
ここで、ローカルネットワークに用意したインストールソースを指定します。ここでは HTTP サーバを指定しますが、他にも FTP やWIndows の SMB、DVDメディアなどを指定することができます。
指定したインストールメディアから、追加する拡張機能をチェックします。Base system, Server Applications, などは必須です。デバイスドライバのコンパイルなどのための、Development Tool, 使い慣れた Legacy Module, GUI 版 YaST やgedit などの Desktop Environment などもチェックしておきます。
次の画面で、システム用途を指定します。プライベートクラウド向けの仮想ハイパーバイザーなら、XEN か KVM をチェックしたいところですが、おとなしく GNOME デスクトップを選んで、サマリ画面で追加のハイパーバイザーを指定することをおすすめします。
ブートしたメディアのリポジトリを削除するか、Enableed のチェックを外して、インストールソースをローカルネットワークの共用サーバのみにします。
もっとも USB メモリからインストールする場合は、そのまま残しておくことになります。
ここも openSUSE とは異なるので注意します。
BtrFS のルートパーティションの他に、 /home が XFS で提案されています。BtrFS はロールバックのためのスペースを必要とするため、ルートパーティションは 30Gb から 40Gb は最低必要です。
将来アップデートすることもあり得るので、ルートパーティションは100Gb 程度は確保しておくようにしています。また、私の好みなのですが、100Gb 程度の未使用領域をいつも残しておいています。何かあれば、ここに別なシステムをインストールできるわけですね。
Expert Partiyioner から Start with current Proposal でパーティションを構成し直します。
Expert partiner から、パーティションの切り直しをします。/ パーティションを一旦削除して、サイズを適切に作成しなおし、ファイルサーバなら /home を、ハイパーバイザーなら /var を別パーティションにするなど、プロポーザルから、必要に応じて指定します。データパーティションにする場合は、デフォルトでは、XFS フォーマットが選択されます。もちろん好みにより別なフォーマットも選べますが、XFS がデフォルトである理由は尊重すべきです。
BtrFS のサブボリュームを削除しないと、別なパーティションが作れませんので、例えば /srv を別パーティションにする場合、/@srv を削除して別パーティションを作り直します。
Hardware clock set to UTC は状況に応じてチェックします。ほとんどの場合、ベアメタルサーバであればチェックが付いたままで問題ないはずです。テスト環境などで Windows と二重ブートしている場合は問題になることがあります。またハイパーバイザー上で仮想化された場合は、仮想マシンがハードウェアクロックをセットしても意味がないので、NTP の設定などをキッチリしておくべきでしょう。基本的にチェックしたままで結構です。
SLE のデフォルトは、ユーザと root は分けて作成します。ここも openSUSE と異なるデフォルトです。
root のパスワードを設定するとき、Caps や Num キーが押されていないか、チェック用のフィールドで確認します。
ここで、インストール設定の詳細な調整をします。
まずは Softwareここで追加しておきたい項目をチェックして追加しておきます。KVM ハイパーバイザーをインストールしておくとか、Webサーバをインストールするとかです。
セキュリティ、ネットワーク、systemd ターゲット
デフォルトでは SSH が使えて、ファイアウォールが無効です。ネットワーク設定は Wicked です。この辺りはopenSUSE Leao と異なります。
ネットワークはデフォルト DHCP なので必要に応じて固定 IP を設定します。
他のディストリビューションでは、サマリ画面で間違って Enter を押すといきなりインストールが始まりイラッときますが、SLE/openSUSE は確認ダイアログが出てきて、デフォルトが「Back」になっています。親切ですね。
コピーが始まると、プログレスバーが表示されます。以前のバージョンでは、どのパッケージがインストール中なのか表示されていたのですが、このバージョンの唯一の改悪点だと思います。
コピーが終わると、自動的にリブートします。
この後は、YaST ツールを使って、必要なセットアップを行います。YaST では次のような作業を、コマンドを知らなくても GUI で行うことができます。
- NTP の設定- 第二言語のインストール- Samba や HTTP の設定- ハイパーバイザーの設定- プロクシの設定- スナップショットの作成- 重要なサブスクリプション登録とアップデート
openSUSE Leap 15.4 のリリースに魔をおかず SLE15sp4 がリリースされました。通常 openSUSE Leap のリリースから、数カ月後に SLE がリリースされて来ましたが、今回は三週後ということで、完成度の高さと自信の現れを感じるリリースでした。今回は短い期間で、openSUSE Leap と SLE を評価する機会に恵まれました。それぞれのチューニングや、インストールのデフォルトのち外を見てきました。有償でサポートが受けられるのは、企業レベルのプラットフォーム Linux として安心感があります。その入口に openSUSE という垣根の低いオープン版があることも心強いです。もし SUSE Linux について興味があるならば openSUSE Leap から始めて、SLE に移行するのも手段の一つです。