SUSE Linux Enterprise Server 15 sp4 (SLES15sp4) インストール

SUSE Linux Enterprise 15 sp4 (SLE15sp4)がリリースされたので早速インストール

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SUSE Linux Enterprise は日本ではメジャーではありません。サーバ用途としては、ERP ソフトウェアで有名な SAP 社の基幹業務パッケージのような、大企業向けのインフラストラクチャとして採用される事例が数多くあります。実際に独 SAP 社では SLES にってソフトウェア開発を行っており、グローバルレベルでは SAP の動作基盤の 8 割は、SUSE Linux Enterprise なのだそうです。

確かに、デスクトップを含む「Linux のシェア」で見ると海外では Ubunts、日本ではRH 系の圧勝なのでしょうが、インターネットサービス以外のエンタープライズレベルの基幹業務での Linux を導入することを検討する場合では SUSE Linux Enterprise は一つの重要な選択肢です。

SUSE LINUX Enterprise の特徴は、信頼性、可用性に重点が置かれていること。初心者に優しい YaST 管理ツールの優秀さです。組織内のプライベートクラウドでのハイパーバイザー基盤、基幹系業務のサーバには良い選択です。

この SLE の安定性、使いやすさを引き継いだ、オープン・フリー版が openSUSE Leap です。SLE と openSUSE Leap は、バイナリレベルで互換性があり、よくある「メジャーディストリビューションのクローン」ではありません。ただしプロプライエタリなソフトウェアや、小規模環境やパーソナルな用途では不要なパッケージを取り除いたものが、openSUSE Leap であるということです。

openSUSE Leap 15.4 と異なる点はこちらでご確認ください。

openSUSE Leap 15.4 インストールとファーストインプレッション


パッケージ管理システムは YaST/zypper/rpm で、slackware 系と言われる SUSE Linux ですが、CentOS などから乗り換えても、ディレクトリ構成が RH 系に似ているので、Debian 系に乗り換えるよりは違和感は少ないでしょう。(正直言って個人的には Debian 系は拷問に近い...)

ここでは、実際に SUSE Linux Enterprise Server 15 (SLES15 SP4) のインストールを通じて、他のエンタプライズ向けディストリビューションとの違いを見ていただければと思います。



ダウンロード

ダウンロードは次のアドレスから入手できます。あらかじめ SUSE に無料でアカウントを登録しておく必要があります。


x86-64 用メディアと ARM 向けのメディアがありますが、ここでは x86-64 用の Full メディアをダウンロードします。サイズはそれぞれ

x86_64 Media1 : 13Gb
x86_64 Media2: 26Gb

です。Media1 はインストール用のバイナリ。Media2 はソースコードなどが入っているようです。通常インストールメディアは、Media1 だけで良いようです。SLE15 からユニバーサルインストーラになったため、DVD メディアが複数必要でしたが、最近の傾向で、USB メモリが前提となってきたせいか、インストールフルメディアのサイズが大きくなっています。

一方、サイズの小さなネットワーク用インストールメディアもありますが、このメディアを使うにはサブスクリプション購読が必要です。一通り検証できた後ならこれを使うこともありですが、いきなり最新のカーネルパッチが当てられると、後にハードベンダーが提供するプロプライエタリなデバイスドライバがコンパイルエラーを起こしてインストールできないケースがあったので、Full メディア版で一通りインストールして、周辺機器の動作を確認するようにしています。


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インストール用サーバ

ここでは、KVM-qemu 環境で動かしましたが、ベアメタルハードウェアにインストールする場合は、Full-Media1.ISO を抽出した、USB メモリから起動することになると思います。USB メモリも安いのですが、いかんせん最近は速度面で不利です。

事前にローカルネットワークに、HTTP サーバを用意して、インストーラが起動したら、HTTP サーバをインストールソースとしてみました。他にも SMB や FTP なども利用できます。もちろん、そのまま USB メモリなどから直接インストールしても良いのですが、あらかじめインストールメディアをローカルネットワークの HTTP サーバやSMB, FTP サーバに用意しておくと、後の YaST でのセットアップ作業が効率的になります。ここでは、HTTP サーバにインストールメディアを用意しておきました。

 yourwww: # mount -o loop <path-to>/xxxxFull-Media1.ISO /srv/www/htdocs

という感じで HTTP サーバにマウントしておけば、これをインストールソースに利用できます。

公式マニュアルはこちら

8 インストール手順


全体的なインストールの流れは動画にしました。(音出ます)





インストールメディアより起動

このスクリーンから、F2キーで言語を日本語にできますが、お勧めはしません。エラーが出てきた場合の日本語エラーメッセージは情報が少ないので、サーバ用途ではよほどの理由がない限り、英語で進めることをお勧めします。SLED ( Desktop )用途や、openSUSE Leap の場合は日本語でも構わないと思います。

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SLE は openSUSE Leap と異なり、ここで Role を選択します。ここでも言語が選べますが、英語のまま進めます。

SUSE Linux Enterprise 15 sp4 を選びます。また、ここでキーボードを選んで、特殊キーなどの配置を確認してください。

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ライセンスの確認

License Agreement > Agree


サブスクリプション登録

ここでは、登録をスキップします。インストール後、デバイスドライバなどが完全に動いてから、YaST から購読を登録してアップデートを更新するのが良いでしょう。

Registration > Skip registration

サブスクリプション購読の申し込みはオンラインでも申し込むことができます。

Shop Online : SUSE Linux Enterprise Server
https://www.suse.com/shop/server/



ローカル HTTP サーバをインストールソースに設定

次に拡張モジュールを指定できますが、ここは最小限の指定だけで結構です。

もしくは、他にインストールソースが指定できない場合は、この画面で、そのままブートメディアからインストールする拡張機能を指定します。

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USB メモリなどのメディア以外をインストールソースに使える環境では、次の画面から別なソースを指定できます。

Add ボタンでインストールソースに、ローカル HTTP サーバなどを追加します。

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ここで、ローカルネットワークに用意したインストールソースを指定します。ここでは HTTP サーバを指定しますが、他にも FTP やWIndows の SMB、DVDメディアなどを指定することができます。

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指定したインストールメディアから、追加する拡張機能をチェックします。
Base system, Server Applications, などは必須です。デバイスドライバのコンパイルなどのための、Development Tool, 使い慣れた Legacy Module, GUI 版 YaST やgedit などの Desktop Environment などもチェックしておきます。

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次の画面で、システム用途を指定します。プライベートクラウド向けの仮想ハイパーバイザーなら、XEN か KVM をチェックしたいところですが、おとなしく GNOME デスクトップを選んで、サマリ画面で追加のハイパーバイザーを指定することをおすすめします。

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ブートしたメディアのリポジトリを削除するか、Enableed のチェックを外して、インストールソースをローカルネットワークの共用サーバのみにします。

もっとも USB メモリからインストールする場合は、そのまま残しておくことになります。

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パーティションの構成

ここも openSUSE とは異なるので注意します。

BtrFS のルートパーティションの他に、 /home が XFS で提案されています。BtrFS はロールバックのためのスペースを必要とするため、ルートパーティションは 30Gb から 40Gb は最低必要です。

将来アップデートすることもあり得るので、ルートパーティションは100Gb 程度は確保しておくようにしています。また、私の好みなのですが、100Gb 程度の未使用領域をいつも残しておいています。何かあれば、ここに別なシステムをインストールできるわけですね。

Expert Partiyioner から Start with current Proposal でパーティションを構成し直します。

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Expert partiner から、パーティションの切り直しをします。/ パーティションを一旦削除して、サイズを適切に作成しなおし、ファイルサーバなら /home を、ハイパーバイザーなら /var を別パーティションにするなど、プロポーザルから、必要に応じて指定します。データパーティションにする場合は、デフォルトでは、XFS フォーマットが選択されます。もちろん好みにより別なフォーマットも選べますが、XFS がデフォルトである理由は尊重すべきです。

BtrFS のサブボリュームを削除しないと、別なパーティションが作れませんので、例えば /srv を別パーティションにする場合、/@srv を削除して別パーティションを作り直します。

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地域と時刻の設定

Hardware clock set to UTC は状況に応じてチェックします。ほとんどの場合、ベアメタルサーバであればチェックが付いたままで問題ないはずです。テスト環境などで Windows と二重ブートしている場合は問題になることがあります。またハイパーバイザー上で仮想化された場合は、仮想マシンがハードウェアクロックをセットしても意味がないので、NTP の設定などをキッチリしておくべきでしょう。基本的にチェックしたままで結構です。


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ローカルユーザの作成と、root のパスワード設定

SLE のデフォルトは、ユーザと root は分けて作成します。ここも openSUSE と異なるデフォルトです。

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root のパスワードを設定するとき、Caps や Num キーが押されていないか、チェック用のフィールドで確認します。

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Installation Settings サマリ

ここで、インストール設定の詳細な調整をします。
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まずは Software
ここで追加しておきたい項目をチェックして追加しておきます。KVM ハイパーバイザーをインストールしておくとか、Webサーバをインストールするとかです。


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セキュリティ、ネットワーク、systemd ターゲット

デフォルトでは SSH が使えてファイアウォールが無効です。ネットワーク設定は Wicked です。この辺りはopenSUSE Leao と異なります。

ネットワークはデフォルト DHCP なので必要に応じて固定 IP を設定します。

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ここからインストール開始

他のディストリビューションでは、サマリ画面で間違って Enter を押すといきなりインストールが始まりイラッときますが、SLE/openSUSE は確認ダイアログが出てきて、デフォルトが「Back」になっています。親切ですね。

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コピーが始まると、プログレスバーが表示されます。以前のバージョンでは、どのパッケージがインストール中なのか表示されていたのですが、このバージョンの唯一の改悪点だと思います。

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コピーが終わると、自動的にリブートします。

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以上が、SLE をサーバ用途でインストールするときの流れです。

動画 - 空白の美 -


Yet another Setup Tools

この後は、YaST ツールを使って、必要なセットアップを行います。YaST では次のような作業を、コマンドを知らなくても GUI で行うことができます。

- NTP の設定
- 第二言語のインストール
- Samba や HTTP の設定
- ハイパーバイザーの設定
- プロクシの設定
- スナップショットの作成
- 重要なサブスクリプション登録とアップデート


まとめ

openSUSE Leap 15.4 のリリースに魔をおかず SLE15sp4 がリリースされました。通常 openSUSE Leap のリリースから、数カ月後に SLE がリリースされて来ましたが、今回は三週後ということで、完成度の高さと自信の現れを感じるリリースでした。

今回は短い期間で、openSUSE Leap と SLE を評価する機会に恵まれました。それぞれのチューニングや、インストールのデフォルトのち外を見てきました。有償でサポートが受けられるのは、企業レベルのプラットフォーム Linux として安心感があります。その入口に openSUSE という垣根の低いオープン版があることも心強いです。

もし SUSE Linux について興味があるならば openSUSE Leap から始めて、SLE に移行するのも手段の一つです。








by islandcenter | 2022-06-30 19:20 | SUSE | Comments(0)