2022年 08月 31日
Youtube は次のオワコンか?
既存のテレビ、雑誌で活躍の場所を失った表現者たちが続々と表現の場として、YouTube へと向かってきました。完全なレッドオーシャン状態です。数年前は、テレビでは見ない、ニッパチの「売れない芸人」さんなんかが、生活費を稼いだり、裏のファン層を確保する手段として YouTube やってます、みたいな人がいましたが、意外と元気に本業以上にしぶとく生き残っているのですね。しかし、テレビや雑誌などのメディアで成功していた(過去の)芸人さんや有名人は、どうしても「後発組」感が拭えない。 登録者数は多くても再生数が伸びていません。テーマ、企画、カメラワーク、テロップ、編集、そしてスタッフ。どれをとっても「テレビ番組」の手法です。テレビの延長でしかないのです。それでもって、制作スタッフのコストはかかっているような動画が多い。しかし、一般的に見て成功しているだろう YouTube チャネルより登録者も視聴回数も少ないようです。制作にかかったコストを回収できていないでしょう。一方、YouTube が本職化してしまった「売れない芸人さん」系 YouTube は、ネタ、企画から撮影、編集まで自分でやってきただけあって、根強い視聴者を抱えて低コストで頑張っている。尺が無駄に長いとユーザは離れてしまうことをよく知っているんです。動画の作り方もうまい。ニッチな市場を正しく攻めています。また、大手報道機関が流すニュースチャンネルも苦しそう。ちょっとしたコメンテーターでも出演してもらうには数万円のギャラは発生するでしょう。それに撮影に必要なスタッフ、スタジオの費用。 YouTube をインターネットの報道メディアとして重きを置くのはどう見てもコストがかかりすぎて有効とは思えません。あくまでも、本職であるメディアの後追いとしての立場ならそれで良いのですが、ただそれだけです。映像や時事の話題ネタのプロが費用をかけて作った動画でも「子猫の3分動画」には視聴数では勝てない。意外と「ガジェット系」の YouTuber さん達も、いわゆる「案件」系で稼げても、悪いものは悪いとはっきり言えないので、単独で成功している人は少なそうな気がします。IT系のプロのライターさんでも一日数万再生では厳しそうです。逆に、案件を避けて「悪いものは悪い」とはっきりしているガジェット系 YouTuber さん達の方がまぁまぁ成功していそうです。映像のプロの作ったコンテンツでも「ゆっくり系」動画ほど面白いとは思えません。意外なんですが「ゆっくり」動画はナレーションの作りも良くできているし、よく調べてあり内容も深いものが多いんですね。どう考えても、新参のプロであっても先行する素人には敵わないのです。先行者利益ですね。
インターネット回線、無線通信回線の低価格化により、インターネット動画の配信、視聴コストは劇的に下がってしまいました。まぁ、私もそうなのですが、「このPC機材で YouTube の動画作成はできるか」という視点でパーソナルコンピュータの仕様を決める人が増えたのではないでしょうか。M1 mac の登場はショッキングでした。「M1 mac なら動画編集ができる」
そう、「一億総国民 YouTuber 化」へと志向しています。
仮に視聴率 5% のテレビ番組があるとします。5% でも、一億総日本人の 500 万人が見ているわけです。あくまでも単純計算ですけどね。これだけの視聴者数が稼げる YouTube のコンテンツはそう多くはありません。でも TV 5% の視聴率でも、30 分番組を制作するコストはかかるでしょう。しかし 100 万程度の PV を稼げる 10 分ビデオの制作費は遥かに低いでしょう。効果もそれなりにあれば、「きまぐれクック」みたいな有力な YouTuber に企業案件を依頼しても一本あたり、100万円単位の広告費は安いものでしょう。実際いくらなのかは知りませんけどね。恐らく彼らであれば、5分出演して「数万円の謝礼」で終わるテレビ出演は、よほどのメリットが無ければやらない。むしろ、自分のチャネルの登録者が増える内容であれば、取材を受けるかも知れません。
なぜ、YouTube がこれほど消費されるか。それは投稿者がマネタイズできるからです。他にもブログメディアも広告でマネタイズは可能ですが、利益率は低い。でも、 Facebook や Twitter で直接マネタイズできなくても、直接のビジネスへの入り口にはなります。あくまでも入り口ですね。広告の出稿者側のビジネス上の利益はあっても、利用者には利益が出ません。それでも利用者が続くのは、コミュニケーションと情報収集ツールとして機能しているからです。Tik tok のマネタイズはまだ始まったばかり。これからどうなるのでしょう。基本的に、ネットメディアで個人が稼げるサービスは今の所 YouTube とブログしかないようです。Instagram も Twitter も、これらの入り口、誘導線にしかなりません。すべての SNS や発表の場に対する目標は「お金になる自己満足」をモチベーションとしているのです。
何でもオワコン宣言したがる性格なのでお許しください。YouTube のオワコンは必ず来ます。ただすぐ明日にでも、ということではないでしょう。何でもオワコン化したいのは、次に何がビジネスとして成功するかの模索のためなのでご理解ください。明らかに YouTube の視聴者の底が広がり、投稿者も増えたということです。視聴者も投稿者も薄く、広く広がっている。それだけ失敗している層も厚いのです。その反面、毎週投稿していたのに消え去った「お仕事暴露系」 YouTuber や、何となく登録したけど、飽きられるチャネルも多いですね。こういったチャネルは視聴者から登録解除される。たとえ有名人や他のメディアで成功した人や団体が、今から参入したところで、今成功している YouTuber 並に成功する可能性は低そうです。
今、YouTube の視聴者もクリエーターも爆発的に増えているのは感じます。しかし世界人口は限界があり、人々が視聴に費やせる時間も有限なのです。いくら登録者が100万人のチャネルでも、登録者増のカーブが頭打ちになる日は来るでしょう。大物 YouTuber さんなどで、高級車に乗ったり、「スタジオ」と言う名の豪邸を建てたりする人も多いですね。投資には免税対策と、将来のための頭囲の2つの面があるはずです。今、稼げるから「スタジオ」に投資しても、その調子がいつまでも続くとは思えない。投資するならその倍稼げという事です。
視聴者も増えたけれど投稿者も増える。増えることのない分母も奪い合いが起こっています。だから GAFA に乗り遅れた人々が注目しているのが Web3.0 の分散型世界なのです。でも Facebook がメタバースでコケつつあるように、現代のメガサービス企業が豊富な資金を使って Web3.0 に投資していくのは必至となるでしょう。YouTube に代わる「一般ユーザが簡単にマネタイズできる手段」が現れるまで、 YouTube の一度状態が続くのでしょうか。
YouYube バブルはいつ崩壊するのか?