mac で Windows11を使う : 無償のUTMで仮想化 (ハマった)

重要なのは

mac で Windows は動くが、Windows で macOS は動かないということなのです。

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UTM はオープンソースの QEMU と Apple Virtialization Framework を mac に実装したものです。Linux では KVM というオープンソースの仮想化技術が一般的です。オープンソースなので、基本的に無償で利用できます。栄枯盛衰が激しいオープンソースの世界なので、今後も UTM が拡大するかどうかは楽しみです。Apple がこうしたオープンソースに対して積極的かどうかはちょっと不安はありますが、 Apple Sillicone M1/M2 mac で Windows を動かすには、Parallels Desktop と並んで、もう一つの選択肢として UTM はサブスクリプションなしで、何しろ無料です。

ここでは、実際にオープンソースの QEMU/UTM で Apple Sillicon M1 mac に Windows11 を入れてみて、実際に遭遇するハングアップやフリーズ、ブルースクリーンなどの経験、使ってみた感想などを説明しています。

UTM は、4.09 です。 ※ 常に最新版をチェックしましょう。動かなかった問題点が改善されている場合があります。

「Apple sillicon M1/M2 mac で Windows を動かしたい」

という単純なロマンを実現するには、Parallels Desktop や UTM などの仮想化ソフトウェアを使うのが一番です。お金がある人は、Parallels Desktop をおすすめします。私のようにお金をかけたくない。オープンソースが大好きな人には無償の UTM がオススメです。







事前に準備しておくこと

Apple Silicone mac に Windows を入れるには、Windows のインストール用 ISO を手に入れて、UTM 仮想ソフトウェアをインストールします。

HomeBrew をインストール
・ UUP dump から、ISO ファイルの作成
UTM のインストール

詳細は次の記事にまとめました。

準備編はこちら
M1 mac で Windows11を : UTM (準備編)

※ UTM は都度新しいバージョンを使ってください。マイナーなトラブルが解決している場合があります。


UTM で仮想マシンの作成

実際に UTM で Windows11 をインストールして仮想インスタンスを立ち上げます。

> "+" ボタン
> 仮想化( Virtualization)
> Windows

"起動 ISO イメージ"から ISO ファイルをブラウズして選択
"ドライバと SPICE ツール....." はチェック済

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> ハードウェア : 特に変更なし
> ストレージ : 必要に応じて変更(最低 32Gb, 64Gb < 推奨)
> 共有ストレージ : 必要に応じて変更

> 概要 : 名前は任意に変更 : "仮想マシン設定を開く" をチェック

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-- 仮想マシンの詳細設定

"概要 Summary" から"仮想マシン設定...." で開くか、左のリストから右ボタンで "編集" を開く

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情報 : 任意に名前を付ける
システム :
QEMU :
入力 :
ディスプレイ : virtio-ramfb (動かない場合もある?)
ネットワーク : "ブリッジ" に変更してみた(ブリッジ推奨)
サウンド :

※ ブリッジか共有ネットワークかは、こちらにまとめました。

UTM 仮想化ソフトウェアの Shared Network モードと Bridge モード


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保存


さぁ RUN させよう

">" ボタンを押して起動

"Start Boot Option"

このタイミングでなにかキーを押します。押せなかった場合、 ブートに失敗し、次のような BIOS セットアップスクリーンが出てきてしまいます。

まだ、HDD が作られていないので、必ずブートローダから抜けるとこのスクリーンが出ます。ここでプロンプトから、 Shell > exit して、Bios セットアップに入ります、

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> Device Manager
> OVMF Platform Configuration
> Change Settings から解像度を "1024*768 " に設定します
(必ず必要かどうかはわかりません、変更しなくてもインストーラまで立ち上がる場合もありました)

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終わったら、Save > Exit > Reboot します、

※ なぜか ESC が効かなくなる謎が発生したので、mac 側からログオフ/ログインし直したら治りました。

Bios 設定画面から再起動したら、スバヤく "Press any key to boot CD/DVD .... " のところでなにかキーを押し、インストール用 ISO 仮想イメージからブートします。(押し忘れると、Bios セットアップスクリーンへ戻ってしまいます)

仮想ディスクが作られセットアップコピーが始まります。コピーが終わるまで数分待つ...

コピーが終われば、再起動して初期セットアップが始まります。ここが突破線でした。


再起動して初期ユーザセットアップ

-- Start Boot Option .... で先に進めない、フリーズする、ブルースクリーンになる場合

起動に成功すると、Windows のスタートアップ音が鳴ります。サウンドドライバは、ほぼ問題無いようです。音が鳴ればもうこっちのものです。

・ディスプレイドライバを変えてみる

仮想マシンの右ボタンで "編集" > "仮想ディスプレイカード" を別のものに変えてみる。大抵 virtio 系のものは動くようですが、ハングアップするので、なぜか変えてみたら動いたというケースがあります。

まず起動しない場合は仮想ディスプレィドライバを変えてみます。

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・起動しないなら USB ドライブを削除する

ブートの際、CD /DVD がマウントされていると、そこから起動しようとするのか起動に失敗することがあります。うまく動く場合もあれば、ブルースクリーンになる場合もありました。Windows をインストール/コピーした後、セットアップ画面まで行かない時は、インストール用 ISO ファイルのマウントを解除して、USB-CD/DVD デバイスも外してしまうと良いでしょう。

SPICE Tools はインストールされるまで、マウントしておくこと。

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初期セットアップが終わったら SPICE Guest Tool のセットアップが始まりますが、ハングアップしてしまいました。(強制再起動)

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うまくいかない場合のまとめ

いくつかポイントがあります

  • 使わないアプリケーションを落として再起動する
  • 空き容量を確保する
  • UTM を再起動する
  • UTM の "編集"メニューから、ディスプレイ設定を変えてみる
  • インストール後、初期セットアップで再起動に失敗する場合、cd/dvd ドライブを削除する
  • UTM の新しいバージョンがあればアップデートする


実際のインストールの流れ、ハマりどころ満載の動画(音出ます)





当たり前だが空き容量には常に注意

UTM のデフォルトの仮想ディスクイメージは qcow2 形式です。スパースファイルなので、ディスク容量に空きがなくても仮想ディスクイメージは作成されますが使っている途中で空きスペースを使い果たす場合があるので、こまめに不要なファイルを削除して、ゴミ箱を空にするようにします。

仮想ストレージは次のディレクトリの下にランダムな名前で作られるようです。

/Users/<MYNAME>/Library/Containers/com.utmapp.UTM/Data/Documents



感想

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-- 使えるけど

Linux で、XEN も KVM も扱ってきたので、Linux の仮想環境の強力さ、可用性の高さは実感しています。 だから UTM の機能の貧弱さを感じます。本気で仮想環境を使いたいのなら、お金がかかっても Parallels を選ぶでしょう。でも手軽にやって見るには UTM も一つの選択です。何しろ無償。Apple Store 版もありますから気に入ったらお布施するのも良いでしょう。

慣れれば30分ほどで、Windows 環境が手元の macBook に用意できるのは心強い。しかも高速でファンレスで低騒音、省電力、長時間運用できる。

試して使えるには使えます。Windows のヘルプデスクでちょこっと使いたいというには便利です。Boot Camp の様に再起動が必要ないのはいいものですね。おまけに高速です。へぇ Apple M1 て Windows でも早いんだ、というのが実感できます。mac で Windows は走るけど、Windows で macOS は動かないのです。

実力は 12 世代 Core i7 程度でしょうか。macbook Air なのでファンレスというのはポイントが高い。この性能で、可動部分がないファンレスとは Intel x64 では考えられません。

でもポータビリティがないので UTM で作成したイメージを、他の Apple Sillicon マシンに移行したり、バックアップしてリストアなどは UTM の GUI ではできなさそうです。タダでさえ重い事で有名な Windows ですからやっぱり2つ3つと動かすのは難しいすね。本格的に Apple Sillicon 上で Windows で仕事に使おうというのは厳しい。

慣れもありますが日常使いには厳しそうです。macBook Air のキーボードが JIS 配置なので、日本語入力の切り替えが難しいし、タッチパッドのスクロール方向が逆なので、慣れるまで大変です。(このUTMのバージョンは逆方向に設定できない)

やっぱり mac は US キーボードにしておけば良かった。

大部分の仕事は mac でやるけど、Edge を使いたいとか、noarch だけど Windows じゃないと動かないアプリケーションがあるんだ、という Web 系な人には試してみたら、という感覚で使ってみればということです。慣れれば30分で手元に Windows 環境が作れます。そうは言っても、せいぜい Web 版 Office が使える程度です。

一応 Chrome ブラウザは使えました。一応32 bit 版だけど 64beta 版も動きました。Chrome インストールページは 32bit と認識するらしい。

いちおう、x64 ソフトウェアも動くことは動くそうなのですが、これは片っ端から試すしかない。

他に吊るし状態で、動画編集ソフト ClipChamp が付いてきますが、わざわざコレ使うのか? という感じですね。メモ帳すら付いていない (プログラムはあるけどアイコンがない) し、そもそも macBook の Apple JIS キーボードだと Windows の使い勝手がよくありません。これはどんな仮想化ソフトウェアでも共通なので Insider Preview を使う限りつきまといます。

ただ、Windows x86 バイナリは動かないので、使い慣れたフリーウェアは使えない。まぁストアアプリは大丈夫だろうけれど、Microfoft のアプリストアは過疎っていますから期待できない。

ってか、ストア・アプリケーション自体ない!.....(終了)

PowerShell もない ....と思ったら"Windows ツール" の中にあった。

まぁ Apple M1 mac でも Windows が動くわけですから、やっぱり ARM 番 Windows が動くベアメタルな ARM PC をどこかのハードベンダーが作ってくれれば見てみたいものなのですが、当面は無理でしょう。本気でどこかのベンダーが ARM 版の PC 作ってくれなければ、ARM 版 Windows は成立しそうもないのでしょう。mac Book Air の素晴らしさを実感している身としては、 ARM 版軽量ファンレス Windows ノートって魅力があるのですがいかがなものでしょうか? 可動部分がなく軽快、しかも長時間駆動。こんな Windowds PC は他にない、Insider Preview 以上の Microsoft のやる気のなさの理由はこんなところにもありそうです。

これは、ARM 版 Windows11 の致命的な点なので、たとえ手段が UTM であっても、Parallels Desktop を使っても同じ結論です。もし仮想化されるゲスト OS が WIndows ではなく Linux であれば、多くのオープンソースの ARM 版パッケージが使えるはず。とは言っても UTM が動く Linux ディストリビューションは ubuntu だけなので、ここも UTM の弱いところです。

最大の魅力はここまでやってもお金がかからない事です。何しろ追加コストナシで、ほぼまともに Windows が使えるのです。


プリンタの問題はこうして逃げるしかない。





openSUSE Tumbleweed 編


Fedora 37 Server 編


M1 mac で Linux 仮想化 SUSE Linux Enterprise15sp5 Beta が UTM で動いた




もう Boot Camp の時代じゃないですね。mac で Windows の仮想化は デュアルブートより現実的で使いやすい。お金がなければUTM、余裕があるなら
Parallels Desktopも選ぶのはいい選択肢です。


Apple® M1® および M2™ チップを搭載した Mac® コンピューターでWindows 11を使用するためのオプション










by islandcenter | 2022-11-19 16:53 | MacOS | Comments(0)