2023年 03月 04日
なぜARM版 PC は無いんだ!
Apple の M シリーズを使ったPCはあり得ないでしょうね。そもそも M シリーズは、Apple が Mac の為に設計した物だし、性能が良くて優れていても、多少の設計変更で汎用的に使えるとしても、Apple がそんな事はしない。そもそも Apple は mac や iPad を売ってナンボのビジネスをしているから、mac のプロセッサを他社向けにナンボで売ってもビジネスメリットは何もありません。所詮 Apple が設計して TSMC が製造しているだけなので、 Apple がただの安価な部品サプライヤーになることは考えられない。
昔、Apple が互換機メーカーに macOS を提供したことがありましたが、逆に Apple のブランド力低下を呼び込んで、大赤字になった経験がありますから、Apple が開発したものを使って他社の為に何かする、と言った事は大人の事情としてあり得ません。
例えば、Dospara さんなんかの直売サイトで、パーツから自作 PC するとして積み上げてみよう。ケースを選び、電源を選び、ビデオカードを選び、SSD を選び、最後にマザーボードと CPU を積み上げていくと、結局十ウン万円のPCが出来上がる訳なのですが、ここでマザーボードと CPU の別な選択肢として、もしあればなのですが ARM 系のマザーボードと CPU が選べたとしても、たぶんミドルクラスのCPUをえらんでもトータルコストはそう大きな差は出ないわけなんですね。汎用PCパーツ使うから安くなるわけじゃない。そもそも流通している汎用パーツが高価なのです。CPU の価格は確かに大きいけれど、全体でみたら大きな割合を占めるものではないのですね。ビデオカードがそもそも高価過ぎる。
逆に性能は大したものでもないのに、歪な性格なPCになってしまうでしょう。ロマンしか無い。
Apple M1 搭載の mac が、すごい性能だと言われるのは、メインメモリチップを CPU チップと同じパッケージに封入したユニファイドメモリ(UMA)だと言われます。

例えば、1Ghz のクロックの波長は約 30cm と言われます。CPU がいくら高クロックでも、メモリが CPU の外にある限り、CPU のクロックに同期したメモリ転送はできない。同じマザーボードにメモリがあっても、CPU とメモリの間の遅延は避けられません。これはもう物理の法則です。
同じことが、CPU と メモリ、グラフィックスカードとの間にも言えるわけですね。
ところが、M1 チップはこれらを一つのパッケージにしてしまった。それどころかグラフィックス用のメモリも、メインメモリと最短距離で共有させているのです。まぁ、一般的なPCなら、メインメモリのデータをマザーボードのバスを通してビデオカードのメモリに転送するわけだから、そこがボトルネックになります。
一般的なゲーミングPCに使われている、Radion や nVidia といったグラフィックスカードほど M1 チップのグラフィックス性能、ゲーミング性能は高いわけでは無いようですが、 M1 チップは一般的なビデオ編集・再生やグラフィックス処理はかなりのものとの評価です。速いわけです。いくら高性能だとしても、今どきの爆熱仕様のGPU カードをそのまま差しては ARM ならではの高性能、省電力化は達成できないのです。
実際に、一般的な PC やプロセサの技術だけでは M1 mac 並の高性能な”パソコン”は作れないのです。単に、携帯電話用のスナドラ800シリーズをポン付けしたマザーボードだけでは終わらない。性能は出ないでしょう。従来のPC用フォームファクタでは収まりそうもない。電源も従来の ATX 電源じゃなく、スマートフォンの AC アダプタ、充電器と同じものになるでしょう。全く従来のPCとは違う規格、フォームファクタが必要になる。当然コストは高い。
新CPU「Oryon」で、Snapdragon搭載Windowsデバイスの普及に向けて2024年は転換点に
もし Qualcomm の Oryon が出てきても、当分はモバイル用PCだったり、 Minisforum あたりなら出してきそうなミニPC カテゴリになりそうです。
やっぱり、ARM 搭載の低価格、省電力、高効率なパーソナルコンピューターのプラットフォームは出ないかなと妄想は続きます。
という事で、ARM アキテクチャで私達が今入手できるパーソナルコンピュータ基盤はやっぱり mac しかなさそうで、まだまだロマンは続くのです。