2023年 03月 30日
光10G 時代のネットワーク機器選び
最近 10Gbps の光通信サービスが続々と出てきました。だからと言ってすぐに飛びつくのは時期尚早。もし 10Gbps の光通信を味わい尽くすには、どんな設備が必要なのかを考えてみました。妄想とロマンですね。大体どこの事業者さんも、月額5〜7000円代でサービスを提供しているのでワクワクです。
ONU は、宅内に引き込んだ光信号を、電気信号に変換する終端装置です。ひかり電話や Wi-Fi 機能もあるものは、ホームゲートウェイと呼ばれる事があります。こればかりは、ほぼレンタル品になるようで、コッチとしては選び様がない模様。こちら側のインターネットへの接続口になるわけですから、このLAN口側が 10Gbps でないと意味がない。
まず、LAN側インターフェースが10Gbps であること。もし Wi-Fi 機能が付いているなら最低 Wi-Fi6 以上ですね。
大抵は 10 Gbps ポートは一口しかないので、これを複数のデバイスで共有化する方法が必要です。直差しできるポートは複数あっても、ホームゲートウェイの場合、複数ポートが付いている事もあるようで、その場合は一口だけ 10 Gbps でその他は 1Gbps の様です。ちょっと寂しい。メッシュ Wi-Fi も使えません。
という事でルータが必要です。※ NURO 光の場合、有線ポートは「3つ」で、仕様は明らかになっていません。RJ45 のモジュラなのか、同軸(まさか!)なのかの記載もありません。 取説見る限り、モジュラーポートのようですが ... 10 Gbps で引き込んで、宅内 1G bps の可能性もあります。凄いなぁ..
WAN インターフェースが 10Gbps であること、LAN 側インターフェースが 10Gbps 1ポート以上、無線 LAN はWi-Fi6 もしくは Wi-Fi6E 以上であること。メッシュ Wi-Fi の親機になること。できれば次世代の Wi-Fi7 にも準拠してくれるとありがたい。
ちなみに、フロアを跨いだり部屋を超える場合、長いケーブルを直接デバイスに繋ぐと、後で部屋の模様替えをしたときにケーブルが足りなくなったり、モジュラプラグの爪が折れたりします。
プラグの爪が折れた長いケーブルを引き直すのは面倒です。一旦ローゼットでメス受けするか、部屋やフロア間を繋ぐ長いケーブルは、ジェンダーチェンジャーで最終のケーブル長をパッチケーブルで調整するのがコツでしょう。手元のデバイスを繋ぐケーブルは抜き差しを頻繁にするのでよく壊れるモノだと考えてください。
10 Gbps の威力は、単一のデバイスで味わっても面白くありません。折角インターネット接続が 10 Gbps にしたんだから、使えるデバイス同士も 10 Gbps 接続にしたいですよね。ブルーレイ程度のデータ量が一瞬でダウンロードできても、それを保存する先は 1 Gbps では、ボトルネックが手元で発生します。土管が繋がっているのに蛇口でプールに水を入れるようなものです。保存作業に何十秒もかかり、物足りないのです。 意味ないじゃん。
本当に接続品質を優先するなら、 Wi-Fi 無線接続ではなく有線接続にすべきです。
ということで、10Gbps をシェアするための HUB が必要になります。最低2ポート以上の 10Gbit ポートがあること。できれば4ポート以上が望ましい。性能は10倍だが価格も十倍。8 ポート 10G bps とかあればこれは買いです。何しろ 10Gbps の通信速度は、メタルケーブルに周波数の高い電気信号を流します。ここが光ファイバーと違って銅線を使う上での弱点です。ネットワークポートを制御する HUB のリピータチップは電力消費が多く、コンピュータの CPU 並に発熱が大きいものです。うるさいけど強力なファン付きの冷却能力が強い金属筐体のモノを選ぶこと。
注意するのは、10Gbps ポートがメタル用 RJ45 であることです。多くは2つの SFP+ と呼ばれるポートが付いてきますが、HUB やルータ間をなどを繋ぐプロ用の特殊な仕様で、RJ45 のメタルケーブルを使うとかの用途には、別途変換するトランシーバが必要です。
意外と忘れがちなのが、それぞれのデバイスを繋ぐケーブルです。足りないからと言って近所の100円ショップで買ってきてはいけません。ネットワークケーブルは品質に厳重な基準があり、性能に大きな差があるんです。 10 Gbps は 600 Mhz とかの高い周波数を使います。品質は重要ですね。
撚り線 ー HUB やローゼットとデバイスにつなぐ短距離用、8本の芯線が更に細いケーブルで撚り合わせて作られています。元々が髪の毛より細い線のケーブルをまとめて、2✗4線で太くしています。柔らかく取り回しがよいが、ノイズにやや弱い。「柔らかい」ケーブルは大抵これです。電気店などで売られている一般の市販品で数メートルの短いタイプに多いです。10G bps でも床上げされていない一般家庭や小規模オフィスで机の周りで使うには充分です。HUB や ルータと機器の間の短い距離を取り回すパッチケーブルには向いています。単線 ー HUB - ローゼット、フロア間など長距離に向きます。8本の線がそれぞれ単線✗8芯で、長距離でノイズが多いところでも通信効率は良いものです。ピンとしてグニャグニャしない硬いタイプなので配線パイプや床下にワイアを使った通線がしやすい。安くて性能はいいが、曲がりが多い場所では取り回しが悪いのが難点。芯線が一本、束ねて8本で硬いので現場での終端加工はし易く、データセンターやサーバールーム内、サーバールームから上げ床のローゼットまでの配線など、プロはこれを使います。市販のパッケージ品でも20mとかはこのタイプが多いような気がします。主に配線屋さんが工事で何メーターで切って使う場合はこれ。カテゴリ5(e) - 百均で売っているのをよく見ます。1G bps でも繋がることは繋がる。SE が良くその辺のコンビニで買ってきては客先に忘れくやつ。次の月に見に行ったらこれが幹線ケーブルに使われていて冷や汗をかいたりします。私の様な素人でもちゃんとした工具があれば自作してソコソコ使える。 10Gbps 環境では短い距離なら使えないことないけど、やめた方が無難。差し込んだ時に 1Gbps で認識されてしまう場合があります。10m程度は使えてもフロア間配線には向かない。カテゴリ6 - 現在の市販品の主流です。一応 10 Gbps で繋がりますが距離制限は数メートルとか10数メートル程度。トラブルなく安定して10 Gbps で使うには 6A ケーブルがお勧め。 1 Gbps なら使えますが、これから買うにはお勧めしません。ここまでは芯線にシールドがありません。カテゴリ6A - 大抵のシールドなしの UTP の高級品はこのタイプ、選んで問題ない。PC ショップや DIY ショップで売られているのは大抵これ。バラすと解りますが、2線☓4組でそれぞれのペアの間にプラスチックの仕切りがあって、4組間での信号干渉を減らしています。終端加工は素人には難しい。撚り線だと、ヘニョヘニョしていて、ねじりが厳しいので切断してプラグを取り付ける終端加工のマージンがシビアです。捩りを伸ばして秀太加工していい距離が数センチとシビアなので自作しないで工場の機械で終端加工されたパッケージモノを使ったほうが安心でしょう。カテゴリ7,8 - コネクタが”金メッキ”。2線4組で、包むようにシールドが付いた高級品、シールド付き STP タイプ、繋ぐ装置にもアースが必要です。まず使わないしケーブルは売っていても使えるネットワーク機器は見たことがありません。40 Gbps にも耐える超高級品で高い性能です。このクラスは、銅線ケーブルではなく、光ファイバーを普通使うので、まず使える機器がない。実際売っているのを見た時に繋ぐ相手もないのに半ダース買ったことがあるが無駄金でした。
※ 撚り線と単線では圧着プラグをカシメる金属コネクタの部分も形状が違います。ついでに圧着レンチも異なります。秋葉原の愛三電機に知らずに行って素人だと簡単に見抜かれた恥ずかしい思いをした経験があります。
他に、フラットケーブルや細いタイプのモノがありますが、通常の太い丸いケーブルは2組の捩り線が更に4本で丸く撚られて、ノイズ対策します。フラットタイプは二本がより合って、これが平行に4本フラットに並んでいます。短距離向けで、フラットタイプはプロの配線工事で業務用では滅多に見たことが有りません。もし顧客が CAT6A 以上のスペックを要求して CAT6 準拠のケーブルを使った場合は、ケーブル代をケチったとか言われて手抜き工事と言われかねないので普通使わないでしょう。カテゴリ 6A 相当でも、 1Gbps なら問題ないけど、ドアやカーペットの下を配線するとき以外で 10 Gbps での長距離通信には積極的に選ぶ理由はありません。このテのフラットケーブルやスリムケーブルは「CAT6A準拠」とか「相当」などと言って、メーカーが独自に性能を保証しているもので、工業製品としてのCAT6A 規格に「対応」したものではないのです。まぁ問題はないんですけどね。後でなんと言われるかわからないから幹線には遣いたくないですね。使うとしたら配線上の限界があって止むを得ず使ったということで、説明責任があるでしょう。
Q.【LANケーブル】「対応」と「準拠」の違いはなんでしょうか?
それぞれのデバイスが 10Gbps 出ないと意味が有りません。ノートブックなら最低でも USB3.2 + 2.5Gbps のマルチギガタイプを選ぶか Wi-Fi6 以上の無線規格が欲しい。HUB やルータが 10Gbps 品質でも、使っているデバイスのネットワークが遅くては、土管の先に水道ホースを付けたようなものです。パソコン、タブレット、その他使っているものが 10Gbps でなくても Wi-Fi6E とか、 最低でも 2.5Gbps マルチギガタイプであると嬉しいですね。
Thunderbolt ならこれか...
やっぱり 10Gbps 化して一番うれしいのは、NAS などのローカルデバイスです。インターネット接続が 10Gbps になっても、ターボを積んだ車で首都高をドライブするようなもので、刹那的な有り難みしか有りません。やっぱり高速なローカルデバイスに高速アクセスできるのは日々の使い勝手に影響します。
かと言って物理円盤の HDD では、ディスクそのもののボトルネックが問題になります。巨大な Raid ディスクなら、書き込み分散で負荷は下がりますが、上位機種のハイエンドの NAS でないと冗長処理がボトルネックになります。
したがって外部記憶装置、NAS も高速化したい。インターネットからコンテンツを10 Gbps でダウンロードできても、保存先デバイスが遅くては、土管の先がプラスチックのバケツの様に使い勝手が悪くなっては意味有りません。
ということで SSD/NAS を選びたいですね。
いくら回線が10Gbps でも、デバイス本体の性能が低いと性能は出し切れません。PS5 だって物理ポートは 1Gbps ネットワークしか備えていないわけですから、いくら Wi-Fi6 だ、 10G bit 光ファイバーだと言っても、プレステ5ごときでの理屈では全然ネットワーク性能が出ないのは当たり前です。
10 Gbps というのは異次元な世界なのです。間違っても、ドン・キホーテあたりで買ってきた、なんちゃって激安 PC で「遅い遅い」と踏ん張っても意味がありません。
YouTube だとかネトフリなんかを 8K でブイブイ言わせて見るんだったら、やっぱりそれなりのスペックが欲しいですね。32インチの 8K モニタとか欲しい。そしてそのモニタを駆動できるコンピュータデバイスが必要です。スマートフォンの小さな画面で4K動画見ても面白くないでしょう?
本体だって 64Gb くらいメモリ積んで、爆速 CPU ブン回さなければ、 10 Gbps の嵐のような大量の情報を軽々しく扱えないのです。
mac の場合 10 Gbit NIC が使えるのは mac mini、 これの 10Gbit ネットワークはオプション。吊るしのモデルはない。Amazon では売っていないので Apple 直営店で...
いいですね。例えば8Kの動画だとかのコンテンツが増えてくれると嬉しい。あと今流行りのメタバースとか。とにかく遅延にシビアで上質なサービスが欲しいものです。という事で、こういったコンテンツサプライヤーにも是非高水準のサービスを提供していただきたいものです。まずは医療関係かな。詳細なオンラインオペレーションなどでは使えそうだけど、人の命に関わる問題ですからね。コンシューマ向けの機器・サービスで大丈夫とは言えないよなぁ。
もっともメタバースなんて、先方も、あのバカデカゴーグル掛けているのでしょうか。ちょっと想像しただけで笑えちゃいそうです。まぁ、メタバースなんて双方向ですから相手も 10Gbps のネットワーク環境が必要なんでしょうけどね。