ChatGPTでWebのオワコン、変化する検索


ChatGPTがバズって数ヶ月。Web の世界がオワコン化している様に見えます。明らかに、このブログを含む Web やブログ記事のアクセス数が減少しているのですね。 Web の記事はほとんど90%以上が検索エンジンからの流入であり、 Web のアクセス数が減少するということは、大元の検索エンジンの利用が大幅に減少している、ということなのです。

つまり、 ChatGPT によって一番危機感があるのが Google です。

ChatGPT 登場以来 Google は稼げない。集客目的のサイトも稼げない。

私達の生活は、Google に支えられ、と言うと極端ですが、このブログのアクセスが減り、広告収入も減ると言うことは、明らかに第一に利益を得ている Google の収益も下がっているはずです。



ChatGPT は一般化する

私たちが検索エンジンを使いたいと思うのは、答えを知りたいという目的があるからです。

で、ブラウザを立ち上げたら、アドレスバーにキーワードを入れて、検索エンジンで検索。いくつか該当のページを選んで読む。こう言った普段我々がやっている習慣というものが、ChatGPT によって見事に粉砕されるわけです。AI の凡庸で一般的な回答がそこにある。

ここで注意すべきことは、私たちは、既にいくつかの仮定を予想して、その期待に従って回答が得られるサイトの記述を確認して答えとして納得する、というパターンで答えを得ているのではないかということなのです。

例えば自分が普段処方されている薬の副作用をで便秘しているんじゃないかと思えば、「薬+便秘」で検索し、薬に関する専門サイトか副作用に関しての専門医院のサイトに巡り合う。副作用について「便秘」と書いてあれば「やっぱりそうか」と納得する。

で、Web サイトに書かれている記事が真実かどうかは私たちの判断に任せられる訳ですね。

しかし、サイトの運営者の考えは、時に一方的で独善的であることもしばしばです。私の様に「ウソばっかり」で独善的、先鋭的な極論、情報を垂れ流していることもしばしばあるでしょう。読者はそのわざとらしさを面白いと受け取るか、嫌いと受け取るかは自由です。

ChatGPT が「便利」と思えるところは、こうしたサイトの独善性や、読者の読み方、調べる意図、と言ったものを一般化した平滑で無難な意見にまとめてくれるところです。

ChatGPt の自然な反応が素晴らしいと言われますが、回答の内容の平準さ、普通さ、平均点を狙った無難さに薄気味悪さも感じてしまうのは私だけなのでしょうか。政府が国会答弁に使いたいと思うわけです。

ChatGPT活用、西村経産相「考えたい」 国会答弁作成を念頭に
https://news.yahoo.co.jp/articles/facbf00042857fe946b66230f68619550a08febb

霞ヶ関の御役人が ChatGPT の様な、いかにも東大出が考えそうな平板で平均点以上の無難な答えをしていたら世の中つまらない。まぁ創造性のない無駄な高級官僚をクビにできるならいいアイディアですね。何しろC言語で素数を求めるプログラムを書けって聞いたら実にシンプルでいいコードを返してくれます。余りにも平凡な平均点以上の回答が返ってきます。

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よくある在宅ジョブで「1000語のブログ記事書いて一記事100円」なんていうようなクラウドソーシングの作業に ChatGPT は向いているでしょう。そもそもそう言った SEO 対策自体を ChatGPT は粉砕するでしょう。


ChatGPTを用いて、記事を大量生産してくれる方を募集します

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ChatGPT などの AI を使った文書作成は、均質で安定した無難な文章を作り上げてくれます。しかし、その様な平易で無難な文章のニーズは「尺稼ぎ」の需要はあるにせよ、文書としての価値は上がるのかという疑問があります。みんなが皆、 ChatGPT でプロっぽい文章を書いたところで、あまりにもつまらないユニークさがない文書にネットワークが飽和した時、似た様な文書は排除され、注目を浴びる価値がなくなります。当然広告費用が稼げる検索ランキングも下ります。

例えばガジェット系の「xxという製品」について100人の皆で AI を使った文章で文書を書いたらどこに「てにをは」以外のどこに差別化できる要因が生まれるのでしょう。確かに ChatGPT は、同じ質問でも違った表現で回答を返してくれるのですが、Web上に満ち溢れる、そんな記事につける広告の価値は果たして高いと言えるのでしょうか。

この様な平易で無難な AI による文書に満ち溢れた世界は、世の中をつまらなくして Web の世界を駄文で満ち溢れた世界に変えるでしょう。AI がダメとは言わないけれど、こんな似た様な文章に溢れた世界は面白くない。おそらく検索エンジン側も AI 文書を検索結果から排除する機能を持つことは想像できることです。


誰が得をするのか、マネタイズの方法はあるのか

問題は、検索エンジン同様に、そこにプラットフォーマーの意図がどの様にアルゴリズムに組み込まれるかなのです。Google だって商売だから、広告収入で成り立つ以上、 Adsence はじめ自社の収入に密接するページを開いてほしい。試しにこの記事を DuckDuckGo で検索するとカスリもしません。

ChatGPT の技術より、どの様にマネタイズするかのビジネスモデルが気になるわけですね。一体誰が得をするのか。どの様にこの技術をマネタイズするのか。

もし、ChatGPT など AI の影響でWebページ全体のトラフィック、広告主体のネットワークビジネスのスタイルが大きくかわるとしたら、今までブログや広告主体でビジネスをしていた層にソコソコに影響が出るんだろうな、と思うのです。

もう、メタバースなんて、何千光年もの遥か彼方に追いやっちゃっています。

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ChatGPT はダメなんだ、禁止だ、と騒いでもその次があるでしょうから、もっと前向きに今後 AI の機能がブラウザの検索バーに備わったら、そこからどうやってマネタイズすれば良いかを考えた方がいいでしょう。Google 始め、従来の Web2.0 的、GAFA のビジネスモデルである Web 広告は AI によって崩壊し始めるでしょうか。ChatGPT の様な AI 頼みの文書量産で利益を求めようとしても、長生きできないでしょう。文書の価値が低すぎる。ChatGPT。
秋山真之を生み出さない。

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AI による文書作成は、一つの結果に過ぎません。無難な尺稼ぎの駄文の大量生産には向いていますが、より高度で魅力に満ち溢れた内容の文章を作るのはやっぱり人間だろうし、そう言った文書を検索上位に上げるアルゴリズムが検索エンジンに求められる付加価値なのかもしれません。平易で無難な内容に価値を求める人と、少し尖った内容の文書に価値を求める人の少なくとも二種類以上の嗜好があるのです。

よく言われるように、ChatGPT では、

1)明らかに誤りと思われる答えが返ってくる
2)最新の情報を返してくれない
3)「王様の耳はロバの耳」的な極秘情報を教えると葦原の様に秘密が拡散してしまう

と言った欠点が言われています。

でも、仮に私達が Web に向かっている時間の一割でも、 Google 検索から ChatGPT に変化しただけで、確実に Google へのトラフィック、そして Google 自体の売上、Google の経済にぶら下がっているブロガーやクリエータの収入の 10% は減るのです。

ChatGPT にはまだまだ問題がある、と言われますが、欠点は容易に克服されるものだろうし、他のサービスも容易に出現するでしょう。「食べログ」のような飲食情報も SNS などで公開されている部分をリアルタイムに情報収集して、「この近所に旨いラーメン屋ってある?」って聞くと、ズバリその情報をリストアップするような AI サービスなんてのも出現する日が今日明日にでも出現してオカシクない。オンラインでの販売サービスを縦横にセンスして、「Core i7 の良いノートブックを売っているサイト知らない?」と問い合わせればズバリそのサイトのURLが出てくるなんてことも可能性はあります。

今ないだけで、いずれその様なサービスが出てきてもオカシクない。

それは既存の Web2 世代のサービスが AI を伴ってサービスを開始するかも知れないし、全く新たな資本と技術が急激に伸びる可能性もあるでしょう。


Web 2.0 的なビジネススタイルの終焉とはじまり

世間一般で言われている Web 3.0 は、メタバースでも、NfT でもなかった。大体誰もがメタバースに食いつかなかったのです。ChatGPT は単純に世間の食いつきが良いのですね。Web 2.0 が結果論なら、 Web 3.0 は結果論として AI が作り出す新しいビジネスモデルで模索がはじまったのかもしれません。

今まで、クリス・アンダーソンが唱えてきた 2000 年代始まりから続いてきた、フリーミアム、ロングテールがもたらすビジネスモデル自体、これでおしまいになるのか、それとも Web2.5 的に続いて Web 3.0 になるのか。 とにかく私達は、AI による次のビジネスモデルとして何が食いつきが良いのかを見極めなければならないのでしょう。






by islandcenter | 2023-04-13 16:30 | 雑文 | Comments(0)