openSUSE Leap 15.5 リリースされました。 インストールとファーストインプレッション

openSUSE Leap 15.5がこの6月にリリースされました。

ここでは openSUSE Leap 15.6 のインストールの大まかなポイントと、少しだけ感想をお伝えします。Install & First Impression です。

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openSUSE Leapは、ドイツのSUSE社がサポートするSUSE Linuxのオープン、コミュニティ版のLinuxディストリビューションです。Linux ディストリビューションとしては、長い歴史を持ちます。よく Slackware 系として紹介されますが、パッケージ管理方式に rpm を使用し、管理ツールに YaST を使用するなど、ディストリビューションとしてはどの流れとも違い、ほぼ独立した存在になったと言えます。

openSUSE Leap は 42.1 以降 Leap と呼ばれ、SUSE Linux Enterpirse(SLE) により近いものになりました。openSUSE Leap は、よくあるクローンOS ではありません。 SLE の開発の工程で、必要ないプロプライエタリなソフトウェアや非オープンソースなパッケージを取り除いたコミュニティ版です。

基本的に SLE とのバイナリ互換を目指しているようで、 openSUSE Leap から SLE へのマイグレーションがサポートされています。



クローンOSではないメリットとして、クローンOSにありがちなパッケージの古臭さがありません。 エンタープライズ向け SLE と同じ歩調で進化しているため、パッチのリリースも早く、比較的新しいパッケージが利用出来ます。また、クローンOSにありがちな、供給母体のポリシーの突然の変更など、サポートに対する不安も少なく、長期的なサポートが保証されている SLE へのマイグレーションパスがある点もポイントです。

ただし、openSUSE Leap はサポート期限が短く賞味期限が短い点は注意が必要です。長期運用するにはマメなアップデートを行うか、 SLE の LTS サポートを受けるために SLE へのマイグレーションを検討してください。

SUSE の先行プロジェクトとしては Factory と Tumbleweed があります。Factory は今は公開されていないようですが、Tumleweed が、ローリングリリースとして SLE/openSUSE Leap より先行して公開されています。より新しいパッケージを試したい場合は Tumleweed をお勧めします。

もし、より安定しており、エンタープライズ用途でまず導入し、将来に渡ってサポートが必要となる可能性も含んでよいディストリビューションはないかと探しているなら、 openSUSE Leap は、SLE へのアップデートパスがあります。 openSUSE Leap は良い選択です。

もし、 Windows に飽きて、違う日本語版のデスクトップを試したいなら、openSUSE と他のディストリビューションとの違いは見つけられないかも知れません。 ubuntu や、よくある Windows もどきのデザインのディストリビューションが良いかも知れません。openSUSE Leap は SLE 並の信頼性と使いやすさに加え、手軽さを備えたサーバ向けの Linux ディストリビューションだと思います。

リポジトリには汎用ディストリビューションらしく、多くのサーバ向けパッケージもありますが、デスクトップ向け用途のパッケージは、日本語でも使えるものがそれほど用意されているという印象はありません。日本でイマイチ人気がない理由かも知れませんね。

個人的には、エンタープライズでの軽用途、ソフトウェア開発の単体レベルでのクラウド開発目的などには openSUSE Leap は良い選択だと思います。高度な仮想ハイパーバイザー基盤や、基幹業務などにはおすすめしません。そういった用途には SUSE Linux Enterprise (SLE) をおすすめします。

後追いで SLES15sp5 もリリースされました

SUSE Linux Enterprise 15 (SLES15sp5) 評価環境にインストール




openSUSE Leap 15.5 の入手

openSUSE Leap 15.5 の入手は次の URL からどうぞ


openSUSE Leap 15.5



x64_86 版、 arm64 版、 ppc 版, IBM zSystem 版があります。今回は Apple M1 mac book AIr の UTM 仮想環境で試したので arch64 版のフルインストールイメージをダウンロードして遣いました。



インストールに必要なハードウェア要件

openSUSE Leap 15.5 のインストールに必要なハードウェア要件は以下に記載がありますが、いくつか補足があります。

ハードウエア要件

システム領域は BtrFS です。スナップショットを使う場合 30 Gb 以上の容量を確保してください。将来 SLE へのアップデートを行う計画がある場合、何かと入り用なので 100Gb 程度のシステム領域を確保すべきだと思います。現実的には 10Gb もあれば動きますが、将来詰まります。

メモリは 1Gb でも 512Mb でも入りますが、インストールの際 GUI が動かない場合があります。仮想環境で入れるなら、2G でインストールして運用する際にメモリを減らすのが良いでしょう。




インストール手順

今回は M1 mac book air の UTM 仮想環境で aarch64 版の openSUSE Leap 15.5 をインストールしました。唯一、注意する点は Apple 仮想化機能( Apple VIrtualization) の機能を有効にする、ネットワークはブリッジを選択する点です。

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その他の UTM を使ったインストールの注意点は別記事をご参考ください。

mac で UTM ARM Linux : openSUSE Leap15.5 on Apple M1 virtualization


openSUSE Leap 15.5のインストールの全体の流れは

1)ウィザード形式でインストールパラメータを設定
2)インストールサマリから、詳細な項目を調整
3)YaSY インストーラでインストールスクリプトを実行、ファイルコピー
4)再起動
5)YaST で必要に応じた詳細設定

という流れになります。





インストールウィザード

ブートスクリーンから Installation の開始

UTM 環境では、ここでApple Virtialization Technology が無効になっていると失敗します。

言語とキーボードの選択

一般的なデスクトップで使う場合はここで言語を Japanese を選択すると、以降日本語でインストールされます。サーバ用途で使う場合は英語のままインストールすると良いでしょう。好みの問題です。

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オンラインリポジトリの選択

オンラインリポジトリを使ってインストールするか、フルインストールイメージ ISO を使うかの選択です。この記事を書いている時点では、まだリポジトリが安定していなかったようなので、オフラインの ISO からインストールする事(No)を選択しました。通信回線が弱い環境ではフルイメージを使ったほうが良いでしょう。



システムロール(役割)

デスクトップに何を選ぶかを選択します。サーバ用途でインストールする場合でも、GUI は欲しいので、gnome デスクトップをお勧めします。SLE 環境と混在して運用するなら、 SLE(Server) は gnome Lignt 版の GUI なのでgnome を使う方が良いと思います。好みの問題ですけどね。

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パーティションの設定

用意されたハードディスクの容量に従って、インストーラがパーティションサイズを提案してきます。大抵の場合カスタマイズするのが普通でしょう。後で変更できない項目なので、ここで Expert Partitioner で Start with current Proposal からパーティションを編集し直します。


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よく有るクローン系ディストリビューションより、詳細で分かりやすいパーティション設定スクリーンが出てきます。

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Device カラムにある @Partition の部分は、BtrFS 用のスナップショット領域です。例えば /var をシステムパーティションと分けたい場合は、 @vat を削除して、新規に作り直します。

F のカラムは、フォーマットするかしないかのフラグです。別なシステムを上書きするんだけど、データはそのまま残したい、という場合は、このフラグに注意します。

大抵の場合、システムに 20Gb 程度、残りは /home で別パーティションというプロポーザルになるでしょう。デスクトップで遣いたい場合はそれでも構いませんが、サーバ運用したい、という場合は、/var を分けて、ハイパーバイザー運用したいとか、/opt を分けてデータベースに遣いたいとか、/srv を HTTP サーバとして分けたいと言った要望があるでしょう。

一旦、ブートパーティション以外を削除して、オペレーティングシステム領域と、データ領域を別パーティションとして分けて置くことになるでしょう。オペレーティングシステムとして用意されるパーティションは BtrFS データパーティションは XFS がデフォルトで選択されます。

実際にパーティションを分けて見ました。こんな感じです。

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タイムゾーンの設定

次の画面で、openSUSE のタイムサーバを使ってタイムゾーン、 NTP の設定をします。Hardware Clock set to UTC は通常チェックします。もし Windows とのデュアルブートをする場合は、このチェックは外しておいた方がいいかも知れません。 Windows がローカルタイムではなく UTC で立ち上がってしまう場合があります。

ハイパーバイザー上で動かす場合は、このチェックは意味がないと思いますが、その代わり NTP の設定が重要になります。

ここで Other Setting を開くと、LAN 内の NTP サーバや、ISP の NTP 、NICT の NTP など、近距離のタイムソースに変更することもできます。



ローカルユーザ

次に普段利用するローカルユーザの名前とパスワードを設定します。

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デスクトップ運用するなら "Use this password..... と "Automatic Login" のチェックは入っていても問題なさそうですが、サーバ運用する場合、このチェックは外しておくべきです。ついでに”Skip User Creation” もチェックを外して、Root のみのユーザを作ることもできます。

"Use this password .... " のチェックを外すと、次の画面で root パスワードの設定を求められます。

root パスワードを設定する場合、キーボードの配列をチェックする項目があるので、特殊キーが正しく使えるかチェックします。



インストールサマリから詳細設定

次に、インストール前の最終サマリが出ます。ここで未設定の項目をいくつか再設定します。特に

・追加ソフトウェア:サーバ用途で使いたい HTTP サーバやコンパイラ、KVMハイパーバイザの追加、不要な LibreOffice の削除など
・ネットワーク:デスクトップ向けなら、 NetworkManager (デフォルト)サーバ用途なら Wicked に変更して固定 IP
・ファイアウォールや SSH の有効化/無効化

など、このスクリーンから選択できます。

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ソフトウェアを開くと、次の様な YaST インストーラの設定画面になります。各ソフトウェアパッケージの、要不要をチェック・アンチェックします。

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インストールの開始

右隅のインストールボタンからインストールを開始します。必ず確認のダイアログが出てくるので安心して押せます。デフォルトが Back なので Enter 二度押ししても先には進みません。よくあるクローンOSの様に、Enter 二度打ちで情け無常にフォーマットを開始するという事はないので安心してください。

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再起動後の調整

再起動した後、テキストターミナルから su して root 権限で "yast2 &" を実行します。デフォルトでは、アクティビティ・バーにアイコンが登録されていないので、 "Add Favorite" しておくと良いでしょう。

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YaST は Yet another Setup Tool です。まだ設定していない項目をこのツールで一貫して設定することができます。

・ Systeem > Network Settings でネットワークの設定、サーバ用途なら Wicked で固定 IP 、ノートブックなら Network Manager でDHCP や WiFi 設定
・ Systeme > Language で、第2言語(日本語)フォントなどのインストール
・Network Services > NTP でタイムリソースの設定
・他、Samba や HTTP サーバのインストール、詳細設定など


今回利用したのは、openSUSE Leap 15.5 aarch64 です。カーネルバージョンは

# uname -a
Linux localhost 5.14.21-150500.53-default #1 SMP PREEMPT_DYNAMIC Wed May 10 07:56:26 UTC 2023 (b630043) aarch64 aarch64 aarch64 GNU/Linux



まとめ

openSUSE Leap 15.5 のリリースに合わせて、M1 mac book air の UTM 仮想環境でインストールしてみました。マイナーバージョンアップで、Leap 15 シリーズのほぼ完成版ということもあり、インストール自体は特に目新しい点はありませんでした。でもこのバージョンから M1 mac 上で Apple 仮想化フレームワーク上で、ほぼキレイに動いてくれるのは有り難いですね。これで mac ユーザなんだけど、Linux も必要、というヒトにとっては便利。まぁ、Parallels Desktop 使ったほうが無難ですけど、無料派にとっては UTM は意外と使えます。

これで SUSE Linux Enterprise 15sp5 もこの路線で出てきてくれると有り難い。SLE と openSUSE Leap が足並み揃えてくれる所が実に嬉しい訳です。

大抵 xx.4 でメジャーバージョンは打ち止めだったので xx.5 が出てきたのは意外です。次は 16.0 になるのでしょうか。次の動きがメジャーバージョンアップとなるかどうかは注目したいところです。やはり今の時代に Linux ディストリビューションに何を求められてくるのかが問われているわけで、そう言ったオマケの部分にどの様な機能が追加されるのでしょうか。

※ どうも openSUSE Leap15.6 が計画されているようです。

Project Announces Plans for Another Minor Leap 15 Release

SLE 115sp5 もリリースされました。

SUSE Linux Enterprise 15 sp5 評価環境にインストール








by islandcenter | 2023-06-10 11:51 | SUSE | Comments(0)