SUSE Linux Enterprise 15 (SLES15sp5) 評価環境にインストール

SUSE Linux Enterprise 15 sp5 Install in Test Environment or Slow Internet Connection.


SUSE Linux Entreprise 15 sp5 がこの6月にリリースされました。

SLES 15 は 2018 年にリリースされ、ほぼ毎年初夏の頃に SP 版がリリースされてきました。従来はマイナーバージョンアップはほぼ一年半ごとでした。 SLE 15 以降は開発のスピードが上がっているようです。

SP4 で終わりかなと思っていたのですが、 SP5 のリリースです。openSUSE プロジェクトでは Leap 15.6 のプランもあるようなので、本家 SLE も SP6 が出てくるのでしょうか。

openSUSE Leap 15.5 リリースされました。 インストールとファーストインプレッション



SLES15sp5 のリリースノートはこちら

SUSE Linux Enterprise Server 15 SP5 Release Notes

順当にオープンソースの上がったバージョンに従って細かな点が改善されています。

例えば「仮想マシンあたりのサポート数を 288 から 768 VCPU に増やしました」など、個人的には KVM ハイパーバイザーに SLES 推している立場としては、KVM 周りの改善に興味があります。

また、手元の Apple Silicon M1 シリーズの UTM 仮想環境で aarch64 版が動作してくれています。Rasberry Pi 以外、あまり aarch64 版のハードウェア環境が手に入らないので、一般的な Apple Mac 上で仮想化して動くというのは嬉しいですね。mac でも SUSE Linux が使える。2023/6 現在よく調べたら、他のディストリビューションではGUIも含めて Apple 仮想化機能を使って ARM 版が全部動くのは非常に少ないのです。

M1 mac で Linux 仮想化 SUSE Linux Enterprise15sp5 Beta が UTM で動いた



SLE15 の評価版・テストインストール

それでは、SLES15 をインストール方法を順に追ってみてみましょう。評価版をインストールします。

無料の評価コピー(メディアISO)はこちらからダウンロードします。 GM1 と GM2 がありますが、インストールに必要なのは1枚め、二枚目はソースコードが入っています。x86_64、ppc、IBM、arch64 版それぞれがあります。

ダウンロードするためには、無料のアカウント登録が必要です。

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https://www.suse.com/download/sles/


正当なやり方であれば、光メディアにブートイメージを焼き込んで、ブートメディアからインストールを開始します。サブスクリプション登録したら、インストールソースは SUSE の最新リポジトリからコピーされます。当然インターネットの接続環境が必要です。最新版を使うには、サブスクリプション登録が必要なのですが、最終的なプロダクトネットワークにインストールせず、まずは動作確認のために配布メディアからインストールします

実際のサブスクリプションの購入はオンラインからも行うことができます。

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実際のサブスクリプション登録は SUSE Customer Center (SCC) で登録します。購入済で有効なサブスクリプションはここで確認できます。

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制限されたローカルネットワークでインストール

実際のテスト環境は隔離されたネットワーク環境なんだとか、インターネットの接続環境はそれほど良くないのですよ、という場合もあります。

また、データセンターなどで大量のサーバーをインストールするなら、SUSE には SMT という機能があり、多数のサブスクリプションを一括して管理できる機能もありますが、個人的には手が出せるものでもありません。インストールするサーバーが数台〜十数台であれば、わざわざ SMT をセットアップするほどでもないな、という場合もあるでしょう。でもインストールを少しでも楽にしたい。

Subscription Management Tool Guide

また、ベアメタルサーバーにインストールするケースは、よほどその筋の方ばかりでしょうが、偶にベアメタルハードウェアにインストールするのよ、と言う場合、まれにインストールの GUI が立ち上がらず、テキストインストーラになってしまって、ブートできても外部メディアからインストールできない場合があります。そう言った時も、手元に HTTP サーバーや FTP サーバがあると便利です。

という事で、SLE15 をローカルネットワークに用意したサーバからインストールする方法です。何台も、何度もインストールするには良いでしょう。



インストールソースを作る

ベアメタルサーバーを起動するには、USB メモリや DVD/BD ドライブに解凍したインストールイメージDVD.ISO が必要です。

起動だけです。

起動後、インストールソースを USB メモリなどのリムーバブルメディアからローカルネットワークにある、FTP,HTTP,SMB 上に展開した ImageDVD.ISO に切り替える事ができます。

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これにより、遅いインストールメディアから、高速なローカルネットワークのメディアに変更します。また、ブート後、USB デバイスは取り外しても構わないので、インストール後の YaST でのソフトウェア追加、削除するためにメディアの抜き差しが不要になるので、その後の作業は楽になります。

例えば HTTP サーバーから配布する場合

# mount -o loop SLE-15-SP5-Full-arc-GM-Media1.iso /srv/www/htdocs/instsrc

という感じでマウントしておきます。

Windows を使う場合、ISO ファイルを解凍した状態で、解凍先ディレクトリを SMB 共有させておきます。

14.6 サーバ上のインストールメディアのISOイメージの使用
https://documentation.suse.com/ja-jp/sles/15-GA/html/SLES-all/cha-deployment-instserver.html


実際のインストールの流れ


読むのが面倒な方は、全体の流れを動画でまとめてみました。音出ます。


次の様な流れです。

GM1-Media1.ISO でブートメディアで起動します。

ブートスクリーン
 > Installation

※ ここで、ブートパラメタを編集してリモートサーバーからインストールする方法もありますが、うまくいきませんでした。aarch64 だからかな?

言語とキーボードの選択
> ここでは英語を選択しました。後で日本語環境を追加でインストールします。
> キーボードは Japanese キーボード
> インストールプロダクト : SLES 15sp5
> License Agreement : Agree

Registration
> Skip Registration

※ ここでスキップしない場合、サブスクリプション登録の手続きになります。

Extension and Module Selection 拡張機能の選択
> uncheck ALL

Base Module と Server Application Modulle がデフォルトでチェックされ地ます。これを術て Uncheck します。ここでブートメディアから、ネットワークに用意した配布用のサーバーにインストールソースを切り替えます。


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Continue ...

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リポジトリが空欄なので ”Add” ボタン



インストールソースを選ぶ事ができます。ここでは HTTP サーバを選びました。

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任意のリポジトリ名と配布元の FTP,HTTP,SMB などのアドレスを指定します。http://your_http_server/mount_pass

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再び拡張モジュールの選択画面が出てきます。ここで Base Module, Server Application Module と追加の拡張機能を選びます。ここでは Desktop Application Module と Legacy Module を追加してインストールします。

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これで、ブートメディアから、ローカルネットワーク内のサーバーにインストールソースを切り替える事ができました。インストール用のリポジトリがローカルのリソースに切り替わっています。

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System role (役割) を指定します

> ここでは、無難に SLES with GNOME でをチェックして YaST GUI と サブスクリプション登録に使う FIre Fox ブラウザが使える様にします。

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パーティション定義

> Default から、必要に応じて変更します。Expert Patitioner から Start with Current Proposal

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パーティションの編集画面です

※ よくある互換系ディストリビューションより細かくパーティションの設定ができます。個人的にはこのパーティショナーはよく出来ていて判りやすいと思うのですが如何でしょうか。

※ 互換ディストリビューションのパーティショナーより全然使いやすいとおもいますけどね。

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SLE15/openSUSE Leap15 では、システム(/)パーティションは BtrFS で、データパーティションは XFS がデフォルトです。

BtrFS でルートパーティションを構成する場合、スナップショットを使うので 30Gb 以上が推奨されます。将来マイナーアップデートが予想される場合を考慮して 60Gb程度はルートパーティションに割り当てると良いでしょう。ベアメタルサーバの場合、100 Gb 程度あれば長く使えそうです。また、この時点で空き領域を 100Gb 程度残しておくと将来何かあった時に役立ちます。

Clock と TimeZone の設定

> Asia/Japan を選びます。

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※ ここで Other Settings を開き、ローカルネットワークにある NTP サーバを選ぶことができます。デフォルトで SUSE のタイムサーバが選ばれているので、構内 NTP ソースや契約先 ISP のタイムソースに変更します。




ローカルユーザの作成

> 必要に応じて root 以外のユーザを作成します。スキップもできます。

root ユーザの作成

> root ユーザのパスワードをセットします。その際、特殊キーなどを使った場合のキーボードが正しく認識されているかを確認します


Installation Settings (インストールサマリ)

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ここでインストールに必要な詳細な設定を行います。

> Software : 追加するソフトウェア、例えば KVM ハイパーバイザーや、開発ツールなど、まずインストールしておきたいパッケージをここで追加します。

> Booting : ほぼデフォルトで問題ないでしょう

>Security : Firewall は有効、SSH は有効がデフォルトです

> Network : セットアップ方法はサーバー用途なので Wicked 、これは openSUSE Leap とは異なります。必要に応じて固定 IP やホスト名をここで設定します。

> Default Target : 起動後の GUI ログインか、テキストログインの方法をここで設定します。


ここで再設定できない root のパスワードやパーティション設定などは、この最終設定サマリから変更できないので Back ボタンで戻って再設定します。この段階でかなりh非常に細かな設定ができます。互換ディストリビューションの様に、後で面倒な設定をするのではなく、インストールする前に多くの詳細な重要で詳細な設定をここで行うことができます。

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ここで、Install ボタンを押すと、確認ダイアログが出てきてインストールが開始されます。確認ダイアログは、 「Back (戻る)」がデフォルトなので、誤って二度 Enter しても、よくある互換ディストリビューションの様にいきなりインストールが始まるようなことはないので安心です。


再起動

インストール後の設定

基本的なインストールをした後、最低限追加すべき標準的な作業として

・必要に応じて、デバイスドライバのコンパイルとインストール
・NTPの設定 (YaST)
・第二言語(Japanese) のインストール (YaST Language)


更にサブスクリプションを購入した後

・サブスクリプション登録とリポジトリのアップデート (YAST SCC)
・zypper dup あるいは YaST Online Update (YOU) で最新パッチのインストール

などがあります。ここまでが、サーバーインフラの構築手順です。


isLandcenter.jp



by islandcenter | 2023-07-26 11:20 | SUSE | Comments(0)