2023年 08月 11日
サブスクリプションがフリーミアムをオワコン化、Web 2.0 ビジネスの終焉。Gooogle アカウントが有料化する日
かつては、朝日新聞も日経もオンライン版は無料だったことを覚えている人はどれくらいいるでしょうか。新聞各社が、オンラインサービスを始めた頃は、まだ有償の物理的な「新聞紙」がビジネスになっていた時代に、無料で新聞がオンラインで読めたわけです。しかし、フィジカルな「新聞」ビジネスが曲がり角を迎えた頃、新聞各社は、自社のニュースサイトを有償サービス化しました。今、ある事件に付いて、複数の視点から眺めてみたい、と言う場合、かつては、各社の記事を見比べる事ができたものですが、今は各新聞社の購読サービスに加入しないと見出し記事を眺めて終わりの時代へと入っていきます。従来の IT 系メディアはまだ無償で過去記事も併せて見ることができますが、日経BPの様に、無償で読めない過去記事など多くなりました。
フリーミアムモデルは、基本的な機能やコンテンツを無料で提供し、一部の高度な機能や追加コンテンツに対して課金を行うビジネスモデルです。このモデルは、ユーザーにサービスやアプリケーションを試してもらい、その価値を実感してもらった後に課金を促す方法です。よくある無料サービスで、サービス内課金を行うものですね。
フリーミアムからサブスクリプションへと移行する中で、様々な市場の問題点があります。まだまだフリーミアムモデルが踏みとどまる余地とはどんなものでしょう。市場の飽和度: サブスクリプションモデルが増えると、市場はますます競争激化し、利用者が選択肢を持つことになります。この競争は価格と価値提供に関してますます重要になります。フリーミアムモデルは、無料で提供される基本機能が他のサービスと比べて魅力的である場合には、競争力を保つことができるかもしれません。コンテンツの質とユーザー体験: サブスクリプションモデルは、安定的な収益源を提供する可能性がありますが、ユーザーはその対価として高品質なコンテンツやサービスを期待します。フリーミアムモデルが提供する無料コンテンツも、利用者にとって十分な価値を持っているかが重要です。新規ユーザー獲得と定着: フリーミアムモデルは、無料で使ってもらうことでユーザーを獲得し、その後に課金を促す一方、サブスクリプションモデルは直接収益を得ることを重視します。新規ユーザーを獲得しやすいのはフリーミアムですが、その後のユーザーの定着と課金に関してはサブスクリプションモデルの方が有利かもしれません。市場のトレンドと消費者の好み: 時代や地域によっても、人々の消費傾向や好みは変化します。一時的にはサブスクリプションモデルが主流とされても、その後のトレンドの変化によってフリーミアムモデルが再び注目を浴びることもあります。
サブスクリプションサービスのユーザ側の問題点としては、払える費用には上限があるということです。例えば音楽のサブスクリプションサービスは数々あれど、一つのサービスでワンストップできない事です。こっちのサービスが良さそうで入ってみたけれど、結局は満足できずに別なサービスに入ってみたりでは、上限がありません。一方で懐の中身には上限があります。結局、どのサービスも満足できない。
私達が支払える費用には上限がある以上、0か1かの選択肢は非常に厳しい。興味があるサブスクリプション全てを契約する訳にはいかない。そんな中で、フリーミアムなサービスは魅力的だった。フリーミアムからマネタイズする方法の一つとしてサブスクリプションモデルが使われているわけですが、お得感のあるサービスはなかなか見つからないのです。
私は Evernote を何年も利用して満足して使っています。しかし、Evernote には、Microsoft OneNote や Apple のメモ帳、Google Keep などの後発のアプリケーションに飲み込まれてきました。オンラインミーティングと言えば、Zoom だった時代は短く、いまや Microsoft Teams に完全に市場が奪われている状態です。Slack もいずれどこか大手の類似サービスに飲み込まれる日が来るかもしれない。Microsoft OneNote は Office356 サブスクリプションの言わば「オマケ」の様なものだし、 Apple のメモ帳は、iPhone の付属品に過ぎません。Teams は、Sylype の「残骸」といっても良さそうですが、ここに来て Office の一部として日の目を見たようです。これらは、言わば「本家」の付属サービスに過ぎず、フリーミアムのスタートアップが成功した後のマーケティングの結果、本家のオマケとして勢いを伸ばしてきました。所詮、フリーミアムのスタートアップビジネスが対抗できるものではなかったのです。フリーミアムのビジネスモデルのあり方は、サブスクリプションサービスと、大手 GAFAM との隙間に押し込まれ、今や立ち位置がない。フリーミアムはオワコン化しています。
果たして、今や IT 業界の「巨人」となった、 Google アカウントですが、ほぼ世界人口の半分は持っているであろう、Google アカウントが、有料化、サブスクリプション化する日は来るのでしょうか。Google の収益モデルは広告なので、そう簡単に有償化にはならないかもしれませんが、無料アカウントなら広告だらけの検索結果でも、ベーシックな有償アカウントを使った場合は、検索結果からリスティング広告を排除する。プレミアムアカウントなら、AI による検索結果や、外国語の翻訳結果をリストに出すとか、Google Suite の 1Tb 程度のフリーミアムな差別化は可能かもしれません。すでに Google Suite には有料版があるわけだから、Google Suite の有料ユーザには検索結果や Google のサービスに簡単な色をつける、なんてことはスグにもできそうです。そもそも Google が利用者に課金して、ある程度実績のある G-Suite のサービス会員には特別なサービス、AI サービスの提供は Youtube Premiam の付与なんかが始まってもおかしくない。そもそも、価格的には Microsoft Office 356 などより有利なんですね。Google が G-Suite にプレミアム感を帯与したら、結構なインパクトはあるのかもしれない。Google は言わずとしれた、スマートフォンOS の一大サプライヤーなのです。今やパーソナルコンピューターより人口あたりの普及率が高く、低価格PCより、高機能、高価格化したスマートフォンプラットフォームに何らかな付加価値をつけて課金化することは不可能ではない。Microsoft が Surface Duo を売り込んでも、所詮は Android でしかない。Android 端末で OneDrive を使いたがるユーザ層は特異な存在ですが、 Google Drive を使うユーザは別に特別じゃない。月々 ¥980 程度の G Swite ベーシック会員に Youtube Premium を付与するだけでも、Google はユーザを確保できるかもしれませんね。スマートフォンという、飛び道具が Surface くらいしかない Microsoft には勝ち目がないでしょう。その代わり Microsoft は Office という武器を使い倒す戦略でしょう。こうなると、DropBox の様な、クラウドストレージのスタートアップサービスは、付加価値がなくますます苦しむ事になりそう。
Twitter (X)有償化、イーロン・マスクは下剋上で Web 2.0 をオワコンか?
フリーミアムは、21世紀に入ってからのItビジネスの一つのビジネスモデルとして成功してきましたが、スタートアップ企業のその方向性は大きく揺らいでいます。サブスクリプション化する大手のビジネスモデルと、小さなアイディアを大手巨人が、主要ビジネスのオマケとして実装することで、オワコン化しているのです。