2007年 10月 01日
よいグループウェアとは? なぜ GroupWiseが優れているか
最近、セキュリティのため、電子メールをWEBメール化しているところ、あるいは検討しているところが多いようですが、WEBメールって本当に便利だと思った事がありません。
- まず使いづらい
まず、使いづらいですよね。最近はajaxなんか使ってかなり使い勝手がよくなったものもありますが、WEBメールの最有力の Gmail でさえ、私には使い勝手がいいとは言えません。やっぱり長文を書くときはメモ帳使って、コピーペーストが原則です。また決して動作が早いとは思えない。
- オフラインで使えない
WEBメールに移行するユーザのほとんどは、いかなるメールもオフラインでは読めないことが最大のセキュリティだと主張します。しかし、モバイルユーザが、空港で、あるいは新幹線の駅前のマクドナルドで、あるいは低速で不安定な携帯モジュールで、アイディアを、具体的な形の電子メールにして、送信し、あるいは返事を書き、相手の書いた内容をゆっくり検討する時間って充分にあるのでしょうか。
電子メールソフトウェアの最大のメリットとはオフラインでも利用できるということに尽きるわけです。
空港のロビーで、あるいはリムジンバスで、新幹線のホームで、メールの送受信だけを行い、ANAのドリンクサービスを受けながら、相手が書いたメールをじっくり検討し、より分かり易い言葉で返事を書く。
こんなあたりまえな事がWEBメールでは実現できません。WEBメールではせいぜい羽田の飛行場で未読のメールに既読のマークをつけるぐらいしかできないし、ANAのシートで昼寝をすることしか許されないのです。だからでしょうか、最近WEBメールを導入した会社では、出張の時は残業代を払わない会社が多いような気がするし、WEBメールを導入したところから来るメールもすごくいい加減で推敲されていない文書をよく受け取ります。確実にWEBメールは人間の能力を壊し、それぞれの信頼関係をぶっ壊すよいツールだとおもいますよ、ワタシは。
-グループウェアが生き残る道
なぜか GroupWise に関わって、10年以上になりますが、GroupWise を導入して、止めた、あるいは別なコミュニケーション手段に切り替えたというところは見たことがありません。Lotus Notes もそういった意味では優れたソフトウェアだと言えます。
また、不思議なことにWEBベースのグループウェアを使っているという現場で、会議室予約以外の機能をちゃんと使いこなしている職場もあまり見たことがありません。特にリモートユーザが多い職場ではそうですね。
スケジュールを管理し、アポイントを取って、資料を作って、グループウェアに添付して、打ち合わせを企画するという作業は、羽田の飛行場のロビーで、貴重な荷物を抱えたままで5分では絶対に出来ない機能です。これは正にホワイトカラーにとっては仕事そのものなのです。仕事そのものをオンライン状態じゃないと使えないというのはなんだかすごくおかしい気がします。
だから、WEBを使ったグループウェアを効率的に使いこなしているというのは、モバイルユーザの少ない製造の職場くらいじゃないでしょうか。
-ワタシが GroupWise を好きないのは、そしてWEB2.0をすべて肯定できないのは
ワタシ自身、GroupWise を数年使ってみて、これほど便利なソフトウェアはないとおもいました。今は使うきっかけもないのですが、たとえ運用コストがかかったとしても、コストに見合った効果が期待できるソフトウェアです。
そもそもリモート機能を使うにせよ、パスワードさえしっかり管理してあれば、その辺にあるPOPメールのソフトウェアよりセキュリティは考慮されて、メール自体は暗号化されているわけだし。たとえP2Pソフトで流出しても、暗号化されたファイルだけですから安心です。このあたりは Notes のユーザも Notes を諦めない点だとおもいます。
WEBメールやWEBのグループウェアだったらセキュリティ面でも安心だし、運用コストも少なくて済むというのはインテグレータが勝手に作った想像です。実際の職場、現場の運用というものを考慮してシステムを作り上げるのがシステムの現場であって、インテグレータやメーカの安易な提案とコスト対策でシステムを作り上げるべきではないとおもいます。
WEB 2.0 というのは産消逆転の中で発生したメカニズムです。これはブロードバンドが家庭という固定されたロケーションでは有効に機能します。しかし、電波の届かない都営三田線の中や高い高度を飛ぶ飛行機の中、高速で走る新幹線の中では有効に機能できないのが現在の WEB 2.0 なのです。
非番のエンジニア